帝国データバンクが発表した「老舗企業の倒産・休廃業・解散動向調査」結果によると、2019 年度の老舗企業の倒産・休廃業・解散件数は579件(前年度比24.5%増)となった。前年度から大幅な増加となり、件数・増加率ともに過去最多を更新。19年度の倒産・休廃業・解散の件数全体における老舗企業の割合は1.82%を占め、前年度を0.34ポイント上回り過去最高を更新した。
579件のうち、倒産は105件(前年度比4.0%増)となり、過去3番目の高水準。休廃業・解散は474件(前年度比30.2%増)で2年ぶりに増加し過去最多、増加率も過去最高となった。また、業種大分類別にみると、最も多かったのは「小売」(209件)で過去最多となった。以下、「卸売」(130件)、「製造」(114件)の順で続いた。このうち、製造は過去最多となったほか、「不動産」(30 件)も過去最多を更新した。
さらに業種細分類別にみると、最も多かったのは「酒小売」の26件となった。酒小売が全業種中最多となるのは、2016年度(19件)以来3年ぶり。件数は08・09 年度(21件)を上回り過去最多を更新した。酒小売では、1998年以降段階的な規制緩和により販売が原則自由化された。そのため、利便性が高く安価に販売するディスカウントストアや量販店、スーパーなどが相次ぎ参入し、中小の酒小売店にとって大きな脅威となっている。
以下、「貸事務所」(20件)、「呉服・服地小売」(18件)、「婦人服等小売」(17件)、食品スーパーなど「食料品小売」(14件)などが続いた。このうち、貸事務所(前年度:6件)と食料品小売(同:5件)は前年度を大きく上回り、過去最多を更新した。貸事務所では、もともと小売などを本業としていた事業者が、社有不動産などを活用してテナントビル事業などに転業し、その後廃業等を選択したケースが多い。
なお、2000~19年度合計では、「ホテル・旅館」が283件でトップとなった。以下、「酒小売」(263件)、「呉服・服地小売」(251件)、「婦人服等小売」(224件)と続いた。このほか、合計で上位となったのは「酒類卸」(148件)など卸売業、「食料品小売」、「米穀類小売」(118件)などの小売業が目立つ。また、書籍や雑誌を販売する「書店」(73件)が前年度から大きく伸長した。
同調査結果は↓