レジ袋有料化で注目「プラスチックフィルム製造業」

 2020年7月1日からプラスチック買物袋(レジ袋)が有料化される。レジ袋は便利な一方で、環境への影響が浮上していたが、レジ袋の有料化は小売業だけでなく、サービス業も一部で小売を継続的に行う事業者は対象になる。すでにレジ袋を有料化したスーパーでは、レジ袋の利用が8割も減ったとの報告もある。東京商工リサーチではレジ袋有料化を前に、プラスチックフィルム製造業者1090社の動向を調査した。

 その調査結果によると、公開が得られた830社のプラスチックフィルム製造業者の売上高は、100億円以上は40社(構成比4.8%)にとどまり、5億円未満が511社(同61.5%)を占めた。1090社の資本金別は1億円以上が74社(同6.7%)で、個人企業を含む1000万円未満が434社(同39.8%)と全体の4割を占めた。大手がトップシェアを占め、典型的な中小企業の集合業界であることがわかった。

 プラスチックフィルム業界は、環境負荷の低減や再生利用の促進、代替商品の開発など、変革期を迎えているが、中小企業が多く、環境対応は二極化が広がる可能性もある。繰り返し利用できるフィルムの厚さ50マイクロメートル以上や、海洋生分解性プラスチックの配合率100%、バイオマス素材の配合率25%以上など、環境性能が認められるレジ袋と、紙袋や布の袋、持ち手のない袋は有料化の対象外となる。

 その他のレジ袋は有料化され、ほぼすべての小売を行う事業者がレジ袋有料化の対象になっている。神奈川県内の中堅スーパーは7月のレジ袋有料化を前に、5月から有料化をスタートした。担当者は、有料後はレジ袋の消費が8割減ったと語る。今後、エコバッグを持ち歩く来店客も見込まれるだけに、さらに消費は減ると予想する。

 「日本プラスチック工業連盟」の統計によると、フィルム生産は2006年の230万4471トンをピークに、リーマン・ショックや東日本大震災で一時落ち込んだ。その後は再び増勢に転じ、2018年は231万1711トンと2000年以降で最多を更新した。レジ袋は海外の安価品が高いシェアを持つとされる。有料化と消費者の環境意識が高まるなか、レジ袋やプラスチック容器や包装材など、幅広い分野で一層の環境対策が問われている。