2019年度中途採用実績は前年の1.66人から1.56人へ

 リクルートワークス研究所が、従業員規模5人以上の全国の民間企業を対象に実施した「正規社員の中途採用実態調査」結果(有効回答数4481社)によると、2019年度の中途採用実績は、2018年度1.66人から2019年度1.56人と前年度比▲6.3%と減少した。従業員規模別でみると、従業員規模「5~299人」の企業と従業員規模「5000人以上」の企業でそれぞれ前年度比▲8.7%、▲9.3%と減少した。

 業種別でみると、「建設業」(前年度比+32.2%)、「医療・福祉」(同+7.3%)で伸びた。人手不足などに伴う待遇改善が影響したものと考えられる。特に「建設業」は新卒採用で十分な人数を確保できないため、中途採用により力を入れていることがうかがえる。一方で、「運輸業」は▲17.0%と減少したほか、「機械器具製造業」や「製造業(機械以外)」では、景気減速の影響などを受け、▲22.1%、▲17.7%と減少した。

 採用した人員の年齢層は、「10代・20代」(51.4%)、「30代」(57.2%)、「40代」(44.6%)といった年齢層の採用は多くの企業が行っている。一方で、「50代」(23.3%)、「60代前半」(5.6%)、「60代後半以上」(1.8%)については低い水準にとどまっている。10代・20代を除く全ての年齢層について、採用している企業の割合は微増した。年齢別にみると、特に10代~30代については、中途採用は頭打ちのような状態にあると言える。

 中途採用について、経験者と未経験者の採用実績人数の過去5年間の推移をみると、経験者の採用人数が1社当たり0.87人と前年より0.15人減少した。中途採用全体では1社当たり1.49人の採用実績となった。母集団規模で計算すると、約106万人が正規社員として、中途採用された計算になる。未経験者の割合は3.8%ポイント上昇した(37.8%→41.6%)。背景には、経験者の中途採用が減少したことがある。

 2019年度下半期の中途採用において、必要な人数を「確保できなかった」と回答した企業が42.7%と、前年から▲7.2%ポイントと低下した。「確保できた」企業の割合と「確保できなかった」企業の割合の差(「中途採用確保D.I.」)は、全体で+13.7%ポイントと前年(0.0%ポイント)から大きく上昇し、3年ぶりに0を上回った。全産業でみると、2017・18年度のような極度の人手不足からは脱している。

 同調査結果は↓

https://www.works-i.com/research/works-report/item/200529_midcareer.pdf