新型コロナ関連の経営破たん、22日現在172件発生

 東京商工リサーチが発表した「新型コロナウイルス」関連倒産状況によると、5月22日17時現在、「新型コロナ」関連の経営破たんは全国で172件(倒産113件、弁護士一任・準備中59件)に達した。新型コロナ関連の経営破たんは、4月は84件に急増、5月は63件と、増勢が続いた経営破たんは21日1件、22日2件と小康状態にあるが、3月、4月の手形不渡り枚数は前年同月を上回り、まだ月末に向けて予断を許さない状況が続く。

 都道府県別は、42都道府県に広がり、空白は福井、和歌山、鳥取、高知、長崎の5県。件数の最多は「東京都」の36件(倒産32件、準備中4件)。以下、「北海道」16件(同14件、同2件)、「大阪府」13件(同6件、同7件)、「静岡県」9件、「兵庫県」8件、「新潟県」と「愛知県」、「福岡県」が各6件。業種別では、インバウンド需要消失や、国内旅行・出張の自粛でキャンセルが相次いだ宿泊業が31件で最も多い。

 次いで、緊急事態宣言で来店客の減少や臨時休業、時短営業が響いた「飲食業」が27件、上場企業初の関連倒産となったレナウンを含む「アパレル関連」が21件と上位に並ぶ。また、小・中学校の休校やイベント中止などの影響を受けた「食品製造業」も14件発生。経営破たんした企業は、人手不足や昨年の消費増税、暖冬の影響などで資金繰りが厳しかった上に、新型コロナ感染拡大で業績が急激に落ち込み、行き詰まったケースが多い。

 緊急事態宣言が21日に関西3府県で解除され、残る首都圏4都県と北海道も25日に解除が判断される見込み。だが、客足がすぐに緊急事態宣言前の水準に戻る可能性は低く、新型コロナで失われた売上高の回復には時間を要する。特に、小・零細規模の企業、商店は、休業からの事業再開には準備も必要だ。事業継続の意欲を持ちながら瀬戸際に立たされた企業、商店には、当座の融資や返済猶予だけでなく、長期的な視野の支援が求められる。

 以上のように、新型コロナ関連の経営破たんは、5月も増勢を持続し、22日17時までに63件判明した。2月から5月22日までの合計は172件に達し、5月中に200件を突破する可能性も出てきた。22日の主な倒産事例をみると、大手百貨店などのディスプレイ・看板制作を手掛ける(株)中央デザイン(神奈川県)が、新型コロナ感染拡大による受注減少から、5月11日に破産手続きを弁護士に一任している。