雇用調整助成金の申請手続きの簡素化を図る~厚労省

 新型コロナウイルスの影響で従業員の雇用維持に苦慮する事業主が多いなか、従業員を休業させた企業、事業者に、休業補償を国が代わりにおこなう雇用調整助成金が期待されている。しかし、雇用調整助成金の助成額の算定方法や申請方法が難しいとの批判が多い。そこで厚生労働省は、雇用調整助成金の申請手続きの簡略化を図り、より申請しやすくするとともに、迅速な支給につなげると発表した。 

 助成額の算定方法の簡略化は、概ね従業員20人以下の小規模の事業主については、「実際の休業手当額」を用いて、助成額を算定できるように、「実際に支払った休業手当額」×「助成率」=「助成額」とする。小規模の事業主以外の事業主についても、申請手続きのルールを緩和する。1人当たりの平均賃金を計算する際に、現在は労働保険料の申告書の利用を求めているが、源泉所得税の納付書の代用を認め、算定方法を大幅に簡素化する。 

 具体的には、まず「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて1人当たり平均賃金を算定できることとする。源泉所得税の納付書における俸給、給料等の「支給額」及び「人員」の数を活用し、1人当たり平均賃金(「支給額」÷「人員」)を算出する。また、「所定労働日数」を休業実施前の任意の1ヵ月をもとに算定できることとする。 

 ちなみに、現行の「平均賃金額」の算定方法は、平均賃金額 =(A)労働保険料の算定基礎となる「年間賃金総額」÷(B)前年度における「月平均被保険者数」÷(C)前年度における「年間所定労働日数」(1人当たり)、となっている。現行では、(A)は、労働保険の確定保険料申告書における「保険料算定基礎額」、(B)は、同申告書における「雇用保険被保険者数」を用いることとしている。