2019年の倒産企業 約6割が最新期に「減収決算」

 東京商工リサーチが発表した「2019年倒産企業の財務データ分析調査」結果によると、2019年に倒産した企業は、57.2%と約6割が最新期で減収決算となり、生存企業の46.9%を10.3ポイント上回った。売上減から抜け出せない企業が倒産しやすいことを示している。また、自己資本に対して利払いや返済が必要な負債の比率である有利子負債構成比率は74.3%と高く、支払利息が営業利益を約2割上回り、本業の儲けを打ち消している。

 最新期での赤字企業率は、倒産企業では52.8%と過半数を超えた。一方、生存企業では22.1%にとどまる。倒産企業と生存企業の差は30.7ポイントに広がり、収益格差が鮮明になった。倒産企業の赤字企業率は、前々期38.9%→前期43.4%→最新期52.8%で、倒産は業績悪化に歯止めがかからない企業に集中。一方、生存企業の赤字企業率は前々期21.6%→前期21.6%→最新期22.1%と、対照的にほぼ横ばいで推移している。

 営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)は、最新期の平均で生存企業が5.2%に対し、倒産企業は▲0.9%と、本業で収益をあげられない状況を示している。また、倒産企業の人件費合計(給料手当+役員報酬)は、前々期→前期5.6%増、前期→最新期7.9%増と2期連続で増加、生存企業の同1.8%増、同1.3%増に比べ、大幅に増加。従業員退職など人手不足に直面し、人材をつなぎとめるため人件費抑制が難しかったとみられる。

 借入依存度を示す、有利子負債構成比率(総資産に対する長短借入金、社債などの割合)が、倒産企業の最新期平均は74.3%だった。生存企業は29.0%で、その差は2.5倍に開いた。倒産企業の有利子負債構成比率は、前々期69.6%→前期72.5%→最新期74.3%と高止まり傾向が続いていた。倒産直前に有利子負債の急増はみられず、中長期にわたり過大な有利子負債を抱え、それを削減できない企業が倒産しやすいことを示した。

 企業の基礎体力や安全性を示す自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)は、倒産企業の最新期平均が▲3.8%。この比率は低いほど借入金等への依存度が高く、比率のマイナスは債務超過を示す。業種により標準値は異なるが、生存企業の最新期は39.1%で、倒産企業の財務内容の脆弱さがひと際目立つ。最新期の自己資本比率が30%以上の企業は、生存企業が56.2%だったのに対し、倒産企業は4.7%に過ぎず、圧倒的な差がついた。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200416_01.html