20年度改正で自動販売機型輸出物品販売場制度を創設

 「輸出物品販売場制度」とは、輸出物品販売場(免税店)を経営する事業者が、外国人旅 行者などの非居住者に対して、その輸出物品販売場において、免税対象物品を一定の方法で販売する場合に、消費税が免除される制度だが、2020年度税制改正において、その輸出物品販売場の許可の区分として、免税販売手続きが自動販売機によってのみ行われる市中輸出物品販売場である「自動販売機型輸出物品販売場」が追加された。

 自動販売機型輸出物品販売場の許可を受けるためには、次の要件の全てを満たす必要がある。(1)課税事業者が経営する販売場であること、(2)現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る)がないこと、(3)輸出物品販売場の許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者でないこと、(4)その他輸出物品販売場を経営する事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

 さらに、(5)現に非居住者が利用する場所又は非居住者の利用が見込まれる場所に所在する販売場であること、(6)一の指定自動販売機のみを設置する販売場であること、が要件となっている。指定自動販売機とは、免税販売手続きを行うことができる機能を有する自動販売機として国税庁長官が観光庁長官と協議して指定するものをいう。なお、指定自動販売機を設置する販売場ごとに自動販売機型輸出物品販売場の許可を受ける必要がある。

 また、自動販売機型輸出物品販売場制度の創設に伴い、免税販売手続きについて検証を行うための必要な体制が整備されていることなど、一定の要件を満たし税務署長の承認を受けた事業者は、自動販売機型輸出物品販売場とみなされる臨時販売場を設置することが可能となった。これらの改正は、2021年10月1日以後に行われる輸出物品販売場の許可及び臨時販売場を設置する事業者の承認から適用される。

 なお、2018年度税制改正により、これまで輸出物品販売場において書面で行われていた購入記録票の作成等の免税販売手続が見直され、これらの手続きが2020年4月1日から 電子化された。2021年9月30日までの間は、経過措置として従来の書面による免税販売手続きができるが、同日までに免税販売手続の電子化に対応しなかった場合、2021年10月1日以後は免税販売を行うことはできなくなるので、注意が必要だ。