新入社員は「結果が出せる?! 厚底シューズタイプ」

 産労総合研究所は、このほど、「2020年度新入社員のタイプ」を発表した。これは、企業の人事担当者、大学のキャリアセンター担当者等から成る「新社会人の採用・育成研究会」が、同所調査の「2020年3月卒業予定者の採用・就職に関するアンケート」や2020年度の採用・就職支援活動等を踏まえて、今年の新入社員の特徴と育成のヒントをまとめたもので、2020年度新入社員を「結果が出せる?! 厚底シューズタイプ」と命名している。

 衝撃を吸収し身体に優しいと話題になっている厚底シューズ。今や、最新テクノロジーを組み込み、ノウハウの蓄積によって、駅伝やマラソン等の記録を更新し、世界的に期待・注目を集めている。これは、ITの進展と共に育ち、先輩たちのノウハウをうまく活かして就活を乗り切った今年の新入社員の姿と重なる。良い結果を生み出すには、走法を変更する等(コミュニケーション・指導や働き方の変更等)準備や調整が必要と指摘する。

 2020年度入社の新入社員の特徴をみると、この春、大学(4年制)を最短距離で卒業した新入社員が生まれたのは1997年。北海道拓殖銀行の破綻、山一証券の破綻といったニュースが伝えられ、実質経済成長率は0%だった。小学生ではリーマン・ショック(2008年)、中学生では東日本大震災(2011年)、大学生では熊本・大阪等各地の大地震、台風等の自然災害を経験し、卒業式は新型コロナウイルス流行の影響を受けた。

 令和になってから最初の新入社員の就職活動では、大卒求人倍率は1.8 3倍で、昨年(1.88倍)には及ばないものの売り手市場だった。経団連の「就職指針」の下での最後の就活年でもあり、比較的落ち着いた環境で就活を行えた。企業の採用活動は、時期、手法とも多様化が進んだ。また、3年生の夏頃からインターンシップに参加する学生が増え、「インターンシップが就活のスタート」という考え方が定着した年ともいえる。

 学生については、売り手市場を反映してか、昨年に引き続き、就職セミナーへの参加者の減少等、活動量の減少が指摘された。エージェントを活用するケースも出てきている。また、在学中には「働き方改革」が社会的なテーマになったこともあり、「新社会人の採用・育成研究会」の調査でも、「残業時間」、「ワークライフバランス」、「福利厚生」等へ関心を寄せる学生が増加している様子がうかがえた。

 総じて、就職先については、自分を成長させてくれる場、居心地の良い場であることを重視する様子が散見される。入社後の希望する教育や指導のあり方をみても、丁寧な1対1の個別指導を求める声が多くみられた。新入社員を命名した「新社会人の採用・育成研究会」は、「まじめさも指摘されており、彼ら一人ひとりの価値観やキャリアプランを考慮した育成・指導・活用が、力を発揮することにつながる」とみている。