帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、2019年度の倒産件数は8480件で、リーマン・ショック以降の過去10年間で最少だった前年度から5.3%の増加となり、2ヵ月ぶりの前年度比増加に転じた。業種別では、7業種中、小売業や製造業など5業種で、また、地域別では、9地域中、東北や関東などの7地域で、前年度に比べそれぞれ増加した。
一方、2019年度の負債総額は1兆2187億8900万円(前年度1兆5548億900万円、前年度比21.6%減)と、2年連続で前年度を下回り、比較可能な2000年度以降で最小を更新した。月別では、12ヵ月中7ヵ月で前年同月を下回った。負債トップは、沼津市内浦地区の淡島でホテルを経営していた(株)AWH(旧:(株)淡島ホテル、静岡県、破産、2019年12月)の約400億円だった。
倒産件数を業種別にみると、7業種中5業種で前年度を上回った。このうち小売業(1990件)は、2019年10月の消費税率引上げによる販売減少などを受け前年度比8.9%の増加。飲食店(784件)は過去最多を更新した。また、製造業(976件、前年度比8.1%増)は、米中貿易摩擦による受注減で機械器具製造(213件)の増加や、原材料費や人件費の高騰による繊維製品製造(115件)などの増加で、10年ぶりの前年度比増加となった。
負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は5283件(前年度比6.7%増)で、構成比は7年連続で上昇し、過去最高の62.3%を占めた。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満(個人事業主を含む)の合計が5727件(同8.1%増)で構成比は67.5%と高水準で推移した。負債5000万円未満の倒産では、小売業(1489件)が構成比28.2%を占め最多、サービス業(1370件)が同25.9%で続く。
地域別にみると、9地域中7地域で前年度を上回った。なかでも関東(3044件、前年度比5.1%増)は、神奈川県(534件、同20.5%増)の小売業(122件)が過去最多となるなど、小規模企業の倒産が増加し、10年ぶりに前年度を上回った。東北(426件、同17.7%増)は消費低迷や人手不足が深刻化するなか、復興需要の収束などで抑制されていた倒産が増加傾向にあり、6県全てで増加。宮城県(138件)は震災以降で過去最多を更新した。
2019年度の倒産状況の概要は↓