新型コロナ、企業活動への影響を挙げた企業は97.5%

 東京商工リサーチが全国の企業を対象に3月27日~4月5日に実施した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」結果(有効回答数1万7896社)によると、新型コロナウイルスの発生による企業活動への影響については、最多は「現時点ですでに影響が出ている」で62.3%、次いで「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」が35.1%となり、合計97.5%の企業が企業活動への影響を挙げた。

 規模別では、「現時点ですでに影響が出ている」は大企業(資本金1億円以上)が74.7%、中小企業(同1億円未満・個人企業等)は59.9%で、大企業が14.8ポイント上回った。産業別では、「すでに影響が出ている」が最も高かったのは、宿泊業や旅行業、飲食業を含む「サービス業他」の71.5%で、唯一7割を超えた。次いで、「小売業」の69.1%。インバウンドの減少に加え、国内の外出自粛の影響が大きく出ていることを示している。

 「卸売業」は67.4%で3番目に多かった。卸売業は「今後影響が出る可能性がある」も31.1%で、合計98.6%が何らかの「影響がある」と回答。卸売の取引先は多岐にわたり、他産業より影響が出やすい。規模別では、大企業の小売業で「影響なし」はゼロだった。国内外で広く店舗展開する大企業は、外出自粛の影響を大きく受けている。中小企業では、建設業が「影響なし」は5.4%で、前回調査(3月12日発表)の10.4%から半減した。

 「すでに影響が出ている」企業のその内容(複数回答)は、最多は「売上(来店者)が減少」の59.6%で、前回調査から11.8ポイント増加。「出張の中止、延期」は59.2%、「イベント、展示会の延期・中止」は44.4%。これらは今後の商談や成約、受注に影響を与えかねず、企業業績への影響の長期化は避けられそうにない。「従業員が感染、または濃厚接触者になった」は1.2%(前回調査0.8%)で、感染拡大に伴い割合が上昇している。

 新型コロナウイルスによる今後の懸念(複数回答)は、最多は「消費減速、経済の低迷」の82.6%、以下、「感染拡大」の74.4%、「営業停止や事業規模の縮小の長期間化」の62.8%と続く。「倒産・廃業の増加」は54.1%だった。4月10日正午現在、新型コロナ関連の経営破たんは51社(倒産26社、法的手続き準備中は25社)に達し、日を追うごとに増加し、業績悪化が顕在化してきた。一方、「不安はとくにない」は0.6%にとどまった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府は在宅勤務・リモートワークを要請しているが、在宅勤務を「実施した」企業は、25.3%だった。前回調査から7.7ポイント増加したが、まだ3割に満たない。企業規模別では、大企業の48.0%が「実施した」と回答したのに対し、中小企業では20.9%にとどまった。大企業と中小企業では、実施率に倍以上の差が出た。社内インフラの整備、人員充足度などの違いが背景にあるとみられる。

 同調査結果は↓

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