2019年度のコンプラ違反倒産、8年連続で200件超

 帝国データバンクが発表した「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」結果によると、2019年度(2019年4月~2020年3月)のコンプライアンス違反倒産は、225件判明した。前年度を3.4%下回り、微減となったが、2012年度以降8年連続で200件台となった。倒産件数全体では、2019年度は2月までに7736件と前年同期を4.5%上回っており、増加に転じる可能性が高いなかで、コンプラ違反倒産はわずかながら減少した。

 しかし、長年にわたり粉飾を続けていた企業の倒産が相次いだことで、融資を行っていた金融機関の危機感を募らせている。2019年度のコンプラ違反倒産を違反類型別に分析すると、最多は決算数値を過大(過少)に見せる「粉飾」で78件(構成比34.7%)判明、2年連続で前年度を上回った。また、「粉飾」での倒産企業は負債額が大きくなる傾向にあり、コンプラ違反倒産を負債額順に並べると、上位20社のうち15社を占めている。

 個別の事例をみても、長年にわたる粉飾や、循環取引による短期間で業績が急拡大していたケースが目立ち、金融機関等から簿外で借り入れを行っており、売上を大きく上回る負債を抱えた倒産が散見された。件数で次に多かったのは、事業外での不祥事や悪質な不払いなどの「その他」(48件、構成比21.3%)、行政処分などの「業法違反」(31件、同13.8%)が続いた。

 業種別にみると、最も多かったのは「サービス業」の49件(構成比21.8%)。医療法人や学校法人で経営層による横領が発覚するなど、特殊法人での不正な資金流出が目立った。また、「建設業」と「卸売業」が48件(同21.3%)で続いた。「マルコス」、「シーンズ」といった卸売業者を中心に都内で大規模な循環取引が行われていたことなどもあって「卸売業」の負債額上位10社すべてが「粉飾」でのコンプラ違反倒産となっている。

 倒産事例をみると、婦人服アパレルブランド「J.FERRY」を展開していた(株)リファクトリィ(東京都中央区、2019年5月民事再生法)は首都圏・大都市圏を中心に全国32店舗を展開。2018年6月期には年売上高約44億円を計上。しかし、2019年5月に10年以上にわたる粉飾決算が判明。実際には2018年6月期の年売上高は約25億6000万円にまで減少していた。こうしたなか、多額の簿外債務も重荷となり、自主再建を断念した。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200406.pdf