新型コロナ関連の倒産10件、北海道から沖縄県まで

 「新型コロナウイルス」感染拡大が世界で広がっている。日本では2月27日、政府が小中高校の一斉休校を要請し、3月25日には東京都が外出自粛を要請するなど、「新型コロナ」感染拡大の影響は、市民生活だけでなく、企業活動にも深刻さを増している。東京商工リサーチが発表した「新型コロナウイルス」関連倒産状況(3月31日18:00現在)によると、2月以降、「新型コロナ」関連の倒産は10件発生したことが分かった。

  2月21日、「新型コロナ」の影響でインバウンド観光客が中心だった旅館が事業を停止し、また同日、「新型コロナ」関連倒産の第一号が発生した。以降、3月31日18:00現在までで、倒産は10件を超えている。また、弁護士一任などの法的手続き準備中は15件で、合計25件が経営破たんした。倒産は2月1件、3月9件、法的手続き準備中は2月2件、3月13件、それぞれ発生している。

 「新型コロナ」関連の経営破たんは、地域が全国に広がっているのが特徴だ。業種は食品製造販売、レストラン・飲食店、宿泊・観光業、アパレル販売など、インバウンド需要と消費者対象の小・零細企業が圧倒的に多い。だが、ここにきて建設資材など、サプライチェーンの混乱から商品を確保できず行き詰まったケースも発生。また、「新型コロナ」感染拡大による業績悪化、先行き見通し難から廃業の引き金になるケースも増えている。

 「新型コロナ」関連の倒産10件を都道府県別にみると、最多は北海道2件。福島県、新潟県、東京都、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、沖縄県の各1件と、北海道から沖縄県まで全国に広がっている。倒産形態別では、破産6件、民事再生法4件と、事業継続を断念するケースが目立つ。産業別では、旅館や飲食業、旅行業などのサービス業他が5件で最多、次いで、食品製造2件、婦人服販売2件で、消費者対象の業種が目立つ。

 まだ、「新型コロナ」の先行きは不透明だが、影響はサービス業、小売業から次第に全産業へ広がっている。すでに体力の脆弱な零細・中小企業を中心に、疲弊する企業は増えているだけに、信用保証枠の拡充、税負担の軽減・延長など、大胆で早期の支援実行が急がれる。