帝国データバンクがこのほど発表した「2020年度の雇用動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万704社)によると、2020年度(2020年4月~2021年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況は、「採用予定がある」と回答した企業は前回調査(2019年2月実施)から5.0ポイント減の59.2%となり、2年連続で減少した。2014年度調査(2014年2月実施)以来6年ぶりに6割を下回った。
他方、「採用予定はない」は同3.4ポイント増の27.8%となり、2年連続で増加した。また、正社員の「採用予定がある」と回答した企業を規模別にみると、「大企業」は82.9%となり、7年連続で8割を上回った。企業の6割超が人手不足を感じているなか、採用活動に積極的な姿勢が続いている。「中小企業」は53.6%となり、前回調査から5.5ポイント減少した。中小企業は高水準ながら慎重な採用姿勢がうかがえる。
2020年度の非正社員(新卒・中途入社)の採用状況については、「採用予定がある」と回答した企業は44.2%となった。前回調査から6.1ポイントの大幅減となり、3年ぶりに5割を下回った。一方で、非正社員が人手不足の状態にある業種における採用意欲は高い。人手不足が顕著な「飲食店」は93.6%で最も高く、「各種商品小売」(77.1%)、「教育サービス」(76.7%)など5業種が7割台で続いている。
企業から挙げられた声をみると、新型コロナウイルス感染症によって採用を躊躇するという声が多くみられた。「新型コロナウイルスの影響がなくなるまでは静観する」(情報処理サービス、埼玉県)、「新型コロナウイルスの影響はこれからと考えており、景気の見通しが立たないため、採用見込みも不透明」(ソフト受託開発、東京都)という意見があるように、多くの企業が先行き不透明感の高まりをその理由に挙げている。
政府は雇用の下支えを目的に、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った就職氷河期世代を対象に、就労やキャリアアップの支援を行っている。そこで、「就職氷河期世代活躍支援プログラム」の利用状況については、プログラムの利用に『積極的』とした企業は6.3%だった。他方、「利用しない(できない)」は35.4%、「プログラムを知らない」は23.9%となり、4社に1社が当プログラムを把握していなかったことが分かった。
同調査結果は↓