東京商工リサーチが5日に発表した「新型コロナウイスの影響に関する調査」結果(有効回答数1万408社)によると、新型コロナウイスの影響は、最多は「現時点ですでに影響が出ている」で54.1%、「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」が40.6%と、何らかの「影響がある」企業は全体の94.8%にのぼった。2月20日に発表した前回調査では合計66.4%にとどまっていたが、わずか2週間で28.4ポイント増加した。
消費増税や暖冬などの天候不順に加え、感染拡大による小中高校の一斉休校の要請などで自粛ムードも広がり、企業活動への影響は深刻さを増している。規模別では、「現時点ですでに影響が出ている」は、大企業(資本金1億円以上)で63.9%に対し、中小企業(同1億円未満)は52.0%で、大企業が11.9ポイント上回った。前回調査比では、大企業が32.4ポイント、中小企業が31.4ポイント、それぞれアップした。
産業別では、「すでに出ている」は、「卸売業」の61.6%が最多。卸売業は「今後出る可能性がある」の34.7%を含むと、合計96.3%にのぼる。卸売の特性上、取引先は多岐にわたり取引連関の中心に位置するため、他産業より影響が出やすい。宿泊業や旅行業を含む「サービス業他」では、「すでに出ている」が59.9%と約6割に達する。外国人観光客などインバウンドの減少が直撃し、打撃を受けていることが分かる。
一方、「農・林・漁・鉱業の」12.2%、「建設業」の8.9%、が「影響なし」と回答。内需を中心に展開する業種では、広がりは緩やかなようだ。規模別では、大企業では小売業で「影響なし」がゼロ(全62社)だった。国内外で広く店舗展開する企業は、外出自粛や買い占めなどの影響を受けやすいが、同時にインバウンドは都市部の百貨店など大企業を中心に恩恵を受けていた反動とみることもできる。
すでに影響が出てい企業のその内容(複数回答)は、最多は、「イベント、展示会の延期・中止」の51.5%、次いで、「マスクや消毒薬など衛生用品が確保できない」が51.1%。「商談の延期・中止」も41.6%に達し、ビジネスチャンス獲得にも影響を及ぼしている。また、「従業員が感染、または濃厚接触者となった」は1.0%(54社)あった。こうした企業は、事業所閉鎖などで企業運営そのものに大きな影響を受けている可能性がある。
同調査結果は↓