帝国データバンクが発表した「東日本大震災関連倒産の動向調査」結果によると、2011年3月から2020年2月までの9年間で判明した「東日本大震災関連倒産」の件数は2021件、負債総額は1兆7048億600万円となった。震災発生からの経過年数別にみると、2012年2月までの「1年目」は513件判明。その後は震災からの復旧・復興が進むなか減少傾向を辿り、「8年目」では41件と、「1年目」の1割未満にとどまった。
しかし直近の「9年目」では50件となり、震災後に金融機関などの支援を受け凌いできたが抜本的な再生に至らず倒産した企業も目立ち、集計開始以降初めて前年件数を上回った。また、地域別件数をみると、9年間累計で「関東」が973件(構成比48.1%)で最多。以下、被災地である「東北」の419件(同20.7%)、「中部」の224件(同11.1%)と続いた。また、8年目以降は「東北」が2年連続で最多となっている。
直接的な被害を受けた企業が多い「東北」を中心に、震災の影響が今もなお残る。経過年数ごとの推移をみると、西日本を中心に6年目以降は1件も判明しなかった地域が散見された。なお、「中国」は6年目以降、「四国」は7年目以降、震災関連倒産は発生していない。業種別件数をみると、9年間累計の最多は「サービス業」(447件、構成比22.1%)、以下、「製造業」の416件(同20.6%)、「卸売業」の408件(同20.2%)と続く。
経過年数ごとの推移をみると、「建設業」は1年目に84件を数えたが、復興需要から土木工事や建築工事が増加した恩恵が大きく、9年目には1件にまで減少した。業種細分類別での9年間累計では、「ホテル・旅館経営」(125件、9年目は6件)が最多で、突出している。宿泊施設・設備の損壊のほか、風評被害などによる観光客減少にともなう客室稼働率の低下などが大きく影響し、抜本的な収益改善が見込めず倒産に至ったケースが多く見られた。
以下、荷動きや取引先減少に見舞われた「道路貨物運送」(51件)、資材調達難などの影響を受けた「木造建築工事」(50件)、工場の被災や仕入れルートの変更を余儀なくされた「生鮮魚介卸」(36件)と続いた。そのほか業種細分類別上位には、食料品や衣料品、レジャー関連など、個人消費に左右される業種が目立った。震災からまもなく9年を迎えるが、震災が企業経営へ与えた影響は完全に終息したわけではないことに留意したい。
同調査結果は↓