帝国データバンクがこのほど発表した「同一労働同一賃金に対する企業の対応状況調査」結果(有効回答数1万405社)によると、自社における同一労働同一賃金への対応状況は、同一労賃への「対応あり」(「既に対応済み」(11.7%)、「現在対応中」(15.8%)、「これから対応する予定」(31.7%)の合計)とする企業は59.2%となった。他方、「対応していない(できない)」とする企業は13.9%と、1割程度となった。
特に「これから対応する予定」(31.7%)が最も多く、4社に1社は「分からない」(26.9%)と回答した。同一労賃への「対応あり」とする企業を規模別にみると、「大企業」が63.3%、「中小企業」が58.1%、「小規模企業」が48.3%となった。特に、適用を直前に控える「大企業」は「小規模企業」を15.0ポイント上回った。また、「対応していない(できない)」とする企業をみると、「小規模企業」で17.6%と他の規模より多い。
同一労賃への「対応あり」とする企業を業界別にみると、「同一労賃の考え方は、以前から運送事業では多くの事業者が導入している」(一般貨物自動車運送、埼玉県)との声があるように、「運輸・倉庫」が72.3%と最も多く、次いで、「サービス」(67.5%)、「製造」(61.2%)が6割台で続く。一方で、「農・林・水産」(45.1%)や「不動産」(49.8%)が4割台となり、同一労賃への対応に業界間での違いが顕著に表れた。
以上のように、この調査結果では、同一労賃への「対応あり」とする企業は、対応に苦慮しつつも約6割となった。他方、「対応していない(できない)」とする企業は1割程度となった。また、「運輸・倉庫」や「サービス」、「製造」が「対応あり」とする企業割合が高かった一方で、「農・林・水産」、「不動産」は4割台となるなど、同一労賃への対応に業界間で濃淡がみられた。
企業における「同一労働同一賃金」への対応は、多数の企業で進められている。しかし、制度に対し否定的な意見も多い。帝国データバンクは、「政府や行政は、企業が滞りなく対応できるよう引き続き制度に関する説明や取組み支援などを行うとともに、施行された後の効果についても広く示していく必要があろう」とコメントしている。
同調査結果は↓