ホテル・旅館業の人手不足感が調査開始以来、最高に

 日本政策金融公庫が、飲食業や理・美容業などの生活衛生関係営業を対象に昨年12月上旬に実施した「雇用動向に関するアンケート調査」結果(有効回答数3137社)によると、従業者の過不足感は、「不足」と回答した企業割合が37.2%と、前年調査を2.6ポイント下回った。業種別にみると、「ホテル・旅館業」が67.0%と同4.9ポイント上回り、調査開始以来、過去最高となり、次いで「飲食業」(40.5%)、「映画館」(39.3%)が続いた。

 不足している従業者の雇用形態は、「正社員」と回答した企業割合が23.1%、「非正社員」が47.7%、「正社員、非正社員の両方」が29.2%。従業者の不足への対応(複数回答)は、「従業者の新規採用」と回答した企業割合が34.6%と最も高く、次いで、「営業時間の短縮」(34.4%)、「従業者の多能化・兼任化」(30.0%)。また、「効果的な手段が見当たらない」と回答した企業割合は16.7%と、前年調査から14.7%低下した。

 従業者の採用に向けた取組みで効果的なもの(3つまで回答)は、「身内や知人等への紹介依頼」と回答した企業割合が39.3%と最も高く、 次いで、「求人サイトの活用」(20.7%)、「ハローワークへの求人」(18.7%)。従業者の定着化に向けた取組みで効果的なもの(3つまで回答)は、「賃金の引上げ」と回答した企業割合が45.4%と最も高く、 次いで、「休日・休暇の増加」(37.1%)、「勤務時間の削減(26.7%)となっている。

 正社員の賃金水準は、1年前と比べて「上昇した」と回答した企業割合が37.2%と、前年調査を1.4ポイント上回り、調査開始以来、過去最高となった。業種別にみると、「ホテル・旅館業」が56.6%と最も高く、次いで、「映画館」(53.7%)、「食肉・食鳥肉販売業」(45.8%)。非正社員の賃金水準は、1年前と比べて「上昇した」と回答した企業割合が48.5%と、同4.1ポイント上回り、調査開始以来、過去最高となった。

 今後1年間の正社員の賃金水準の見通しは、「賃金を引き上げる」と回答した企業割合が33.4%と、前年調査を0.3ポイント下回った。業種別にみると、「ホテル・旅館業」が50.3%と最も高く、次いで、「映画館」(41.5%)、「食肉・食鳥肉販売業」(38.5%)となっている。今後1年間の非正社員の賃金水準の見通しは、「賃金を引き上げる」と回答した企業割合が35.8%と、同1.5ポイント上回り、調査開始以来、過去最高となった。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/seikatsu20_0227a.pdf