パン製造小売業者の倒産過去最多、近畿エリアで急増

 帝国データバンクがこのほど発表した「パン製造小売業者の倒産動向調査」結果によると、2019年のパン製造小売業者の倒産件数は31件で、前年比2.1倍となり過去最多を更新したことが明らかになった。2011年以降は10件台で推移していたものの、2019年は2年ぶりに前年を上回り、初めて30件を突破した。負債総額は18億200万円となり、同じく2年ぶりに前年比増加となった。

 負債額トップは、大阪・兵庫エリアにて手作りパンの店「Copenharvest」を約18店舗展開していた、元・運営会社の(株)CH(負債約5億3100万円、特別清算)。負債規模別にみると、「1000万円~5000 万円未満」が22 件で最多、次いで、「1億円~5億円未満」が5件、「5000万円~1億円未満」が3件となった。一方、負債「5億円以上」の倒産は(株)CHのみとなり、同レンジの倒産は2010年以来9年ぶりに発生した。

 地域別にみると、「近畿」が19件で最多となり61.3%と6割強を占めた。次いで、「関東」の4件(構成比12.9%)、「中部」の3件(同9.7%)、「北海道」と「九州」のともに2件が続いた。都道府県別では、「大阪府」が8 件でトップ。もともとパン製造小売業者の多い地域であるうえ、近年品質が向上したコンビニパンなど他業態との競争が激化し、販売不振に陥る小規模事業者が表面化した。

 業歴別にみると、「30年以上」が11社(構成比 35.5 %)と約3社に1社となって最も多く、次いで、「10~20年未満」が10件(同32.3 %)と続き、両レンジが 3割を超えたことで 、業歴10年以上の業者が7割超を占めた。特に、業歴が長く家族経営がベースとなる小規模事業者では、後継者問題から 事業継続を断念する事業者も散見された。なお、同調査における「パン製造小売」はパン類を製造し、その場所で小売する事業者。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200204.pdf