覚醒剤の押収量が史上初めて2.5トン超える~財務省

 財務省は、2019年の1年間に全国の税関が空港や港湾等における不正薬物の密輸入その他の関税法違反事件の取締り実績を公表した。不正薬物全体の摘発件数は1046件(前年比20%増)、押収量は約3318キログラム(同約2.2倍)と、史上初めて3トンを超えた。わが国への不正薬物の流入は、極めて深刻な状況にある。不正薬物とは、覚醒剤、大麻、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物をいう。

 覚醒剤の摘発件数は425件(前年比約2.5倍)と過去最高を記録。押収量も約2570キログラム(同約2.2倍)と大幅増加し、史上初めて2.5トンを超え、4年連続1トン超えとなった。覚醒剤の押収量は、不正薬物全体の約8割を占め、我が国への覚醒剤の流入が特に深刻な状況となっている。押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約8566万回分、末端価格にして約1542億円に相当する。

 大麻の2019年の摘発件数は241件(前年比11%増)とわずかに増加したが、5年連続で100件超えが続いている。一方、押収量は約78キログラム(同▲50%減)と半減した。大麻のうち、大麻草の摘発件数・押収量は減少した一方で、大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む)は、摘発件数(131件(同46%増))、押収量(約17キログラム(同31%増))ともに増加した。

 麻薬は、全体の摘発件数が209件(前年比▲7%減)とわずかに減少したものの、押収量は約656キログラム(同約4.1倍)と大幅に増加。このうち、コカインの摘発件数は52件(同▲10%減)とわずかに減少したものの、押収量は約638キログラム(同約4.2倍)と大幅に増加。MDMAの摘発件数は67件(同14%増)、押収量は約6万1千錠(同91%増)と摘発件数・押収量ともに増加した。

 なお、金地金(金塊に加えて一部加工された金製品も含む)の密輸入事犯の摘発件数は61件(前年比▲94%減)、押収量は約319キログラム(同▲84%減)と、摘発件数・押収量ともに大幅に減少した。しかし、昨年10月の消費税率引上げ後は、摘発件数に増加傾向が見られた。また、時計等の商標権を侵害する物品の密輸入事犯14件を告発。サル、カワウソ等の密輸入事犯や北朝鮮へ向けた家具等の密輸出事犯等を告発した。

 同関税法違反事件の取締り状況の詳細は↓

https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/cy2019/ka20200212a.htm