約2万社にのぼる中国から輸入する日本企業

 帝国データバンクがこのほど発表した「日本企業の対中国輸入動向調査」結果(速報)によると、中華人民共和国(香港・澳門を除く)から、製品などを輸入する日本企業は1万9718社判明した。このうち、詳細が判明した約5000社の輸入元で、最も多かった都市は「上海市」で2010社。以下、「大連市」(741社)、「青島市」(433社)、「蘇州市」(426社)などが続き、総じて中国沿岸部、とりわけ江蘇省に輸入元が集中している。

 なお、新型肺炎の震源地である「武漢市」からの輸入企業は25社判明。品目では産業資材や自動車部品、ハチミツなど農産品があった。また、業種別では、「卸売業」が最も多く1万1730社。このうち「洋服卸売」(1292社)が最も多く、次いで「産業用電気機械器具卸」(863社)、「化学製品卸」(384社)など化学・機械関連から、「生鮮魚介卸」(263社)など食品関係もみられる。

 業種別で2番目に多い「製造業」では、「電子機器用部品製造」(200社)が多く、「工業用プラスチック製品製造」(129社)、「がん具類製造」(112社)、「金型類製造」(104社)、「水産加工」(89社)など。総じて自動車関連の素材や部品供給から食料品に至るまで、幅広い業種・品目を中国から輸入している。本社を構える都道府県別では「東京都」が6019社で最多。以下、「大阪府」(3740社)、「愛知県」(1381社)など主に大都市圏で集中する。

 中国国内では新型肺炎の感染拡大に伴い、交通網の遮断や従業員の出勤停止措置などが取られており、操業の完全復旧には長期間を要するとみられる。一方で、日本企業の多くが素材や部品供給を中国からの輸入に頼るなか、部品調達などで不安が広がっている。既に、自動車大手の日産自動車は中国からの部品供給寸断を理由に九州工場を停止する方針を打ち出すなど、懸念された中国での生産活動停滞による悪影響が本格的に及び始めた。

 特に、必要以上に在庫や設備を持たない中小企業では、中国からの供給網寸断による部品供給の遅延や不足による企業活動への影響は大手以上に深刻となる。今後、中国から輸入を行う約2万社をはじめ、中小企業でも生産休止や閉鎖、流通量低下といった動きが拡大するとみられている。