東京商工リサーチがこのほど発表した「地方公共団体・中小企業等向け貸出金残高調査」結果によると、国内銀行110行の2019年9月中間期の総貸出金残高は、467兆6727億円で前年同期と比べ2.1%伸びた。このうち、地方公共団体向けは32兆9994億円(前年同期比7.4%増)で、9年連続で増加。また、中小企業等向けも321兆4246億円(同1.8%増)で、8年連続で増加した。
貸出金の伸び率は、地方公共団体向けが前年同期(4.5%増)比2.9ポイントアップ。一方、中小企業等向けは前年同期(3.4%増)比1.6ポイントダウンし、対照的となった。総貸出金残高のうち、地公体向け貸出金の占める割合は7.05%で、調査を開始した2010年以降、9月中間期としては9年連続で前年同期を上回った。一方、中小企業等向け貸出金は68.72%で、9月中間期では2年連続で前年同期を下回った。
金融機関は、低金利時代に貸出量と金利が稼げた貸家等の不動産貸出を積極的に進めた結果、中小企業等向け貸出の比率を高めた。だが、シェアハウスの不正融資問題等で不動産向け貸出は急速に鈍化しており、さらに、貸出競争の激化や中小企業等の先行き不透明感も高まっている。企業倒産が増勢に転じ、与信コストも上昇するなか、今後の銀行貸出の動向が注目されている。
中小企業等向け貸出金残高は8年連続で前年同期を上回ったが、総貸出金残高のうち、中小企業等向け貸出の構成比は前年同期を0.19ポイント下回った。中小企業向け貸出残高の構成比が前年同期を下回ったのは2年連続。中小企業等向け貸出金残高が前年同期より増えたのは97行(構成比88.1%)で、前年同期の100行から3行減少した。内訳は、大手行が5行(前年同期6行)、地方銀行が58行(同59行)、第二地銀が34行(同35行)。
一方、地方公共団体向け貸出金残高は9年連続で前年同期を上回り、過去最高を更新した。地方公共団体向け貸出金残高が前年同期を上回ったのは43行で、前年同期52行から9行減少した。総貸出金残高のうち、地方公共団体向け構成比は7.05%で、前年同期から0.35ポイント上昇し、9月中間期では9年連続で上昇した。110行のうち、地公体向け貸出金の構成比が前年同期を上回ったのは33行で、前年同期35行より2行減少した。
同調査結果は↓