産労総合研究所が上場企業等を対象に昨年12月に実施した「2020年春季労使交渉に臨む経営側のスタンス調査」結果(有効回答数235社)によると、企業の担当者の賃上げの世間相場の予測は、「2019年と同程度」が47.2%(前回調査58.9%)、「2019年を上回る」は8.9%(同12.7%)、「2019年を下回る」は20.9%(同10.1%)だった。なお、「現時点(2019年12月)ではわからない」と判断を保留した企業は、23.0%(同17.7%)となった。
自社の賃上げ予測については、最も多かったのが「賃上げを実施する予定(定期昇給を含む)」で68.9%(前回調査72.2%)と7割弱を占め、次いで「現時点ではわからない」25.1%(同23.4%)、「賃上げは実施せず、据え置く予定」4.3%(同3.8%)で、「賃下げや賃金カットを考えている」と回答した企業はなかった。企業規模別にみると、「賃上げを実施する予定」の割合は企業規模が小さくなるほど高くなっている。
自社の賃上げを実施する予定と回答した7割弱の企業の自社の賃上げ率予測は、世間相場の賃上げ予測と同様に、最多が「2019年と同程度」の63.6%で前回調査を8.3ポイント下回り、平均賃上げ率予測は1.9%(前回1.9%)。「2019年を上回る」は9.9%で、同1.5ポイント下回り、平均賃上げ率予測は2.4%(同2.7%)。「2019年を下回る」は18.5%で、同8.0ポイント上回り、平均賃上げ率予測は1.6%(同1.8%)だった。
2019年10月の消費税増税による自社の賃金改定への影響については、賃金改定において今回の増税を「考慮すると思う」企業は8.5%、「考慮しないと思う」企業は67.2%と、7割弱の企業が消費税増税分を賃上げに反映しないとしている。企業規模別にみると、「考慮すると思う」企業は大企業で2.1%、中堅企業で12.1%、中小企業で9.0%と、中堅企業で他の規模より高くなっていた。
定期昇給制度がある企業は80.0%だったが、具体的に記入のあった企業の定期昇給の平均額、率をみると、4682円、1.71%と前回(4510円、1.70%)から減少。定期昇給制度の適用対象の範囲は、「全社員に適用」する企業が最も多く、46.3%(前回52.6%)、「一般社員のみに適用」28.2%(同27.4%)、「特定層のみに適用」6.4%(同3.7%)だった。ここ数年、「全社員に適用」する企業の割合が上がっていたが、今回は6.3ポイント減少した。
定期昇給制度のある企業の2020年の賃金改定の内容は、「定昇のみを実施する予定」が47.9%(前回調査48.9%)、「定期昇給もベアも実施する予定」は16.0%(同13.3%)。また、33.0%と3割強の企業は「現時点ではわからない」と回答。「定期昇給もベースアップも実施する予定」の割合は、大企業18.9%、中堅企業17.0%、中小企業14.3%と、企業規模が大きくなるほど高くなっている。
2020年の年間賞与については、2019年に比べて「増加する見通し」とした企業は7.2%(前回調査13.9%)、「ほぼ同額」37.0%(同36.1%)、「減少する見通し」15.7%(同5.1%)だった。また、業績連動型賞与制度を導入している企業は37.0%で、前回調査(31.6%)から5.4ポイントの増加。導入していない企業は62.1%(同65.2%)で、今後の方向性としては「導入する予定はない」が76.7%で最も多く、「現在検討中」は14.4%だった。
同調査結果は↓