期限到来間際の申告での加算税の賦課決定期限を整備

 内国税においては、(1)納税申告をせずに税務署長の決定を受けた後に行う修正申告書の提出、又は(2)期限後申告書の提出が、加算税の賦課決定の期間制限(原則5年)の終了間際に行われる場合は、その期間制限内に無申告加算税の賦課決定ができず、加算税を賦課できない事案が生じていた。つまり、国税の賦課及び徴収をする権利には、原則5年の期間制限が設けられており、この期限を過ぎたら国は権利を行使することができない

 そこで、2020年度税制改正では、賦課決定をすることができなくなる日前3月以内にされた納税申告書の提出又は納税の告知を受けることなくされた源泉所得税等の納付(調査による更正決定又は納税の告知を予知してされたものを除く)に係る無申告加算税又は不納付加算税の賦課決定について、その提出又は納付がされた日から3月を経過する日まで、行うことができるように、期限到来間際にされた申告に係る加算税の賦課決定期限を見直す。

 また、これらの賦課決定により納付すべき国税の消滅時効も見直す。国税の期間制限には、賦課権(税務署長が国税債権を確定させる処分である更正、決定、賦課決定を行うことができる権利)の除斥期間と、徴収権(すでに確定した国税債権の履行を求め収納することができる権利)等の消滅時効があり、国税通則法に規定されている。国税通則法を改正し、本年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税に係る加算税から適用する。

 国税の改正に伴い、国税と同様の無申告加算税の賦課決定の期間制限の見直しを、関税でも2020年度関税改正で行う。関税の加算税の賦課決定の期間制限は、原則として法定納期限等から5年であり、関税においても、納税申告をせずに税関長の決定が行われる場合、この決定の後、無申告加算税の賦課決定の期間制限が終了する間際に、修正申告書の提出がされる場合があり得るとの指摘があった。

  昨年12月12日に開かれた財務省の関税・外国為替等審議会の関税分科会では、「内国税においては、納税申告をせずに税務署長の決定を受けた後に行う修正申告書の提出、又は期限後申告書の提出、これらが加算税の賦課決定の期間制限(法定申告期限から原則5年だが)の終了間際に行われる場合に、この期間制限内に無申告加算税の賦課決定ができず、当該加算税を賦課できない事案が生じている」と説明していた。