日本政策金融公庫が28日に発表した「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」結果(有効回答数4759社)によると、中小企業の事業承継の見通しは、後継者が決まっており後継者本人も承諾している「決定企業」は12.5%にとどまり、後継者が決まっていない「未定企業」が22.0%、「廃業予定企業」が52.6%と5割強を占め、「時期尚早企業」が12.9%となった。
業種別で「決定企業」の割合が「全体」と比べて高いのは「宿泊業」(38.2%)、「不動産業」(25.3%)、「物品賃貸業」(24.2%)など。一方で、「情報通信業」(6.6%)や「小売業」(9.7%)、「飲食サービス業」(9.9%)は一ケタ台にとどまる。一方、「廃業予定企業」の割合は、「専門・技術サービス業、学術研究」(63.3%)、「娯楽業」(62.3%)、「飲食サービス業」(62.1%)などで高い。
従業者規模別にみると、「決定企業」の割合は「1~4人」の6.8%が、「5~9人」では22.0%に高まるものの、10人以上のいずれのカテゴリーでも20%台にとどまっている。また、「未定企業」は「50~299人」で50.7%と過半数を占める。一方、「廃業予定企業」は「1~4人」では66.9%を占めているものの、「5~9人」では34.9%、「10~19人」では17.6%と、規模が大きくなるほど割合が低下している。
「廃業予定企業」の同業他社と比べた現在の売上状況は、「増加傾向」が5.3%、「減少傾向」が53.8%となっており、「廃業予定企業」ではほかの類型に比べて業績が劣る企業の割合が高い。今後10年間の事業の将来性についても、「廃業予定企業」では「事業を継続することはできるが今のままでは縮小してしまう」が35.5%、「事業をやめざるをえない」が27.0%と、将来性が見込めないとする企業の割合がほかの類型よりも高い。
現在の年齢別の類型分布をみると、「39歳以下」、「40歳代」では、「時期尚早企業」がそれぞれ57.7%、38.0%と、最も高い。「50歳代」では「廃業予定企業」が49.4%と最も割合が高く、さらに「60歳代」(57.1%)、「70歳以上」(59.1%)では半数を超えている。一方、「60歳代」で22.7%、「70歳以上」で20.7%の「未定企業」が存在していることも注目される。
なお、「決定企業」の後継者候補をみると、「長男」が45.2%、「役員・従業員(親族以外)」が16.3%、「長男以外の男の実子」が10.1%、「その他の親族」が8.8%などとなった。2015年調査と比べると、子どもの割合が高い傾向は変わらない。一方、「長男」の割合が低下し、「その他の親族」、「役員・従業員(親族以外)」の割合が上昇するなど、子どもや親族以外への承継が増えていることがうかがえる。
「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」結果は↓