企業版ふるさと納税は、2020年度税制改正において、適用期限が5年間延長されるとともに、企業の地方への寄附による地方創生への取組みへの積極的な関与を促すことにより、寄附をしやすくして地方への資金の流れを飛躍的に高めるため、税負担軽減割合を現在の約60%から約90%に引き上げるなど、税制優遇措置を大幅に拡充する。
企業版ふるさと納税は、2016年度税制改正で創設された制度で、青色申告書を提出する法人が、2020年3月31日までの間に、地方創生につながると内閣府が認定した自治体(認定地方公共団体)の事業に寄附すると、損金算入措置による約30%の税の軽減効果に加え、地方税の法人事業税及び法人住民税、国税の法人税から約30%の税額控除が行われ、合計約60%分の税負担が軽くなる仕組み。
今回の改正の背景には、個人が寄附することで所得税や個人住民税が控除される「ふるさと納税」が順調に推移する中で「企業版ふるさと納税」が思ったほど適用されていないことから、企業が利用しやすくすることで地方創生に意欲的な自治体への寄附を促すことがある。今回の改正は、まず、今年3月末に迎える制度の期限を2025年3月末まで5年延長する。
その上で、税負担軽減割合を現在の約60%から約90%に引き上げる。具体的には、地方公共団体に対する寄附金としてその全額が損金算入されることによる税負担の軽減(法人実効税率を30%と仮定した場合、寄附金の額の30%)、及び企業版ふるさと納税による税額控除(全額控除が可能な場合、寄附金の額の60%)となり、合計で寄附金額の約90%となる。
さらに、一定の補助金等による事業を対象に追加した上、個別事業を認定する方式から包括的に事業を認定する方式に転換する認定手続きの簡素化を図るほか、これまで寄附金の対象外とされていた、認定地方公共団体がその事業を行う前にその認定地方公共団体に対する寄附金の支出も対象寄附金として認める。改正法が成立すれば、新制度は今年4月1日から適用される。