2019年(1~12月)に「休廃業・解散」した企業(個人事業主を含む)は、全国で2万3634件(前年比2.6%増)判明したことが、帝国データバンクが20日に発表した「全国休廃業・解散の動向調査」結果で分かった。前年(2万3026件)を608件上回り、3年ぶりの増加に転じた。このうち、経営者が自主的に経営や事業を畳むケースを含んだ「休廃業」は1万2764件で、この件数は7年ぶりに増加した。
また、「解散」は1万870件で、2016年の1万617件を上回り過去最多を更新。大企業の子会社の再編なども背景に4年連続で1万件を超える水準で推移した。休廃業・解散件数は2019年の法的整理である倒産件数(8354件)の2.8倍と高水準で推移。「休廃業・解散率」は1.61%と前年を0.04ポイント上回り、3年ぶりに増加に転じた。この結果、2019年の休廃業・解散企業における従業員数合計は約6万7千人に達した。
代表者年代別にみると、リタイア適齢期に当たる「70代」が7197件(構成比37.6%)と約4割を占め、3年連続で全年代中最多となり、集計可能な2000年以降でも最多件数となった。年齢別では、最多の年齢が10年前の2009年の62歳から、2018年には初めて70歳に到達。2019年は2018年を上回る「71歳」に達した。平均年齢は67.9歳となり、いずれも集計開始以降で過去最高を更新した。
業種別では、全7業種中5業種で前年を上回った。なかでも「サービス業」(5221件、構成比22.1%)は前年から2.7%増加し、2年ぶりの前年比増加となった。他方、減少となった2業種のうち、「建設業」は7087件(構成比30.0%)となり休廃業・解散のなかで最多となったが、件数は2017年以降3年連続で減少した。「運輸・通信業」(422件、同1.8%)も、2018年以降2年連続の減少に転じた。
業種細分類の件数では、最も多かったのが「木造建築工事」の1231件。以下、「非営利的団体」(961件)、「土木工事」(694件)、「不動産代理・仲介」(564件)、「土木建築サービス」(432件)と続き、上位20業種中12業種が「建設業」で占められた。他方、休廃業・解散率の高い業種では、牛乳配達などを手掛ける「牛乳小売」(4.09%)が前年から2.53ポイント急増して全業種中トップとなった。
2位以下は、「寝具小売」(3.77%)、「米穀類小売」(3.71%)、「技術提供」(3.68%)、「畳小売」(3.52%)などが続く。上位20業種中14業種が「小売業」となり、2018年から4業種増加。休廃業・解散率でトップの「牛乳小売」は、2019年の倒産でも10件発生し過去最多を記録。牛乳配達は総じて労働集約産業であり身体的な負担も大きく、経営環境の悪化や代表の高齢化もあって、事業継続を断念したケースが多いとみられる。
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