日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表した「2019年度ロシア進出日系企業実態調査」結果(有効回答数102社)によると、2019年を「黒字」と回答した企業割合は68.3%と、3年連続で約7割を維持した。マクロ経済の減速がみられる中でも、現地市場での売上増加、販売効率の改善などを背景に好調を維持。前年(2018年)と比べた2019年の営業利益見込みについては、「横ばい」が前年比7.1ポイント増の42.2%と過去最大となった。
製造業では「悪化」と回答した企業が32.1%と「改善」(28.6%)を上回った。主な理由(複数回答)として、「現地市場での売上減少」(55.6%)、「人件費の上昇」(55.6%)、「調達コストの上昇」(44.4%)、「為替変動」(33.3%)などが指摘されている。2020年の営業利益見通しでも「横ばい」が52.0%(9.0ポイント増)となり、景気減速の中で、黒字は維持するものの、営業利益は「横ばい」とする企業が増加した。
今後1~2年の事業展開については、「拡大」と回答した企業が44.1%(9.4ポイント減)で2年連続減少。「拡大」と回答する企業の割合の増減は、当該年の経済成長予測にリンクする傾向がみられている。「縮小」、「第三国(地域)へ移転・撤退」はそれぞれ1%に過ぎず、「現状維持」が過去最大の53.9%に達し、様子見の感が強まっている。「拡大」する理由(複数回答)として、「現地市場での売上増加」(88.9%)が引き続き最多となった。
昨年の調査に比べ「成長性・潜在力の高さ」(46.7%)、「輸出拡大による売上増加」(20.0%)、「生産・販売ネットワーク見直し」(20.0%)、「コスト低下」(13.3%)を挙げた企業の割合が増えた。「拡大」する機能(複数回答)については、80.0%の企業が「販売機能」と回答。製造業では「物流機能」(66.7%)が6割を超え、「生産(汎用品)」(22.2%)も増加した。一方、「生産(高付加価値品)」、「研究開発」を挙げる企業の割合は減少した。
経営上の問題点(複数回答)をみると、販売・営業面では、引き続き「競合相手の台頭(コスト面で競合)」が53.5%で最多(2.6ポイント増)。財務・金融・為替面では「現地通貨の対ドル/ユーロ為替レートの変動」が前年比13.7ポイント減の45.1%となったが、引き続き主要な問題点として指摘されている。加えて、「税務の負担」が9.1ポイント増の28.4%に拡大。2019年1月に実施された付加価値税増税(18%→20%)の影響とみられる。
同調査結果は↓
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/d6f74b4b3a3c424c/20190026.pdf