信金中央金庫がこのほど発表した「2020年(令和2年)の経営見通しに関する特別調査」結果(有効回答数1万4250社)によると、2020年の我が国の景気見通しについては、「良い」と回答する割合が14.6%、「悪い」が42.3%となった。この結果、「良い-悪い」は▲27.7と、1年前の調査(▲11.6)と比べて16.1ポイントの低下となった。2年連続の低下となったものの、1992年の同調査開始以来の平均(▲55.2)は大きく上回った。
自社の業況見通しについては、「良い-悪い」が▲22.2となり、1年前の調査(▲8.6)に比べて13.6ポイント低下。2年連続の低下となったものの、1992年の同調査開始以来の平均(▲40.9)は大きく上回った。地域別では、北陸、東北、関東で慎重な見通しが目立った。また、従業員規模別では、我が国の景気見通しと比較して、規模の大きい企業ほど強気の傾向があった。業種別では、昨年に引き続いて小売業で慎重な見通しが目立った。
自社の売上額見通し(伸び率)を「増加-減少」でみると、13.2ポイント低下の▲3.9となった。減少が増加を上回ったのは5年ぶり。地域別では、近畿、九州北部、南九州を除く8地区でマイナス。とりわけ東北、北陸では他地区と比較して慎重な見通しとなっている。従業員規模別では、9人以下でマイナスとなる一方、10人以上の階層では軒並みプラスとなった。また、総じて規模が大きいほど強気の傾向がみられた。
自社の業況が上向く転換点については、「すでに上向いている」が4.1ポイント低下し、15.2%。一方、「業況改善の見通しは立たない」は、前年から2.9ポイント上昇し、34.2%となり、2002年の調査開始以来、最多。従業員規模別では、従業員40人以上の階層では、軒並み「すでに上向き」が「業況改善の見通しは立たない」を上回っているが、39人以下の階層では正反対の結果となり、業況改善は、規模による二極化の様子が大きいといえる。
なお、消費税率引上げについて、引上げ前の見通しと比べてどのような影響を受けたかについては、「見通しと変わらない」が70.7%と多数を占めた。「見通しより悪い影響」は24.9%、「見通しより良い影響」は4.4%。業種別にみると、全ての業種で「見通しと変わらない」が過半数を占めたものの、小売業では「見通しより悪い影響」、「見通しより良い影響」とも、回答が比較的多かった。
同特別調査」結果は↓