「個人版事業承継税制」に関する質疑応答事例を公表

 国税庁は17日、2019年度税制改正において創設された個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予(「個人版事業承継税制」)に関する質疑応答事例を取りまとめ公表した。同質疑応答事例は、制度の概要を始め、特定事業用資産、個人の事業用資産の贈与者が死亡した場合の相続税の 課税の特例関係、個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除関係など、全72項目をQ&A形式で掲載している。

 例えば、制度の概要については、青色申告に係る事業(不動産貸付業、駐車場業及び自転車駐車場業を除く)を行っていた「先代事業者」の後継者として、中小企業における経営の承継の円滑化法の都道府県知事の認定(「円滑化法認定」)を受けた者が、その事業の用に供されていた一定の資産(「特定事業用資産」)の全てを、2019年1月1日から2028年12 月31日までの間の贈与又は相続等により取得した場合に適用される特例と説明。

 具体的には、先代事業者の後継者として「円滑化法認定」を受けた者が、「特定事業用資産」の全てを、上記の10年間に贈与又は相続等により取得した場合には、(1)その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、(2)後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるという制度であるとしている。

 ただし、上記(2)により免除されるまでに、この制度の適用を受ける資産をその事業の用に供さなくなった場合など一定の場合には、納税が猶予されている贈与税・相続税の全部又は一部について納税猶予の期限が確定し、その税額と利子税を納付する必要がある。また、円滑化法認定を受けるには、2024年3月31日までに円滑化省令に規定する個人事業承継計画を都道府県知事に提出し、その確認を受けなければならないとされている。

 納税猶予の適用を受ける手続きとしては、「個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予」の適用を受けようとする後継者は、贈与税・相続税の申告書の提出のほか、都道府県に対する手続きとして、(1)「個人事業承継計画」の提出、(2)「円滑化法認定」の申請があり、税務署に対する手続きとして、(3)「青色申告の承認」の申請、(4)「開業届出書」の提出が必要となると解説している。

 「個人版事業承継税制」に関する質疑応答事例は↓

http://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/pdf/0019012-113.pdf