都内中小企業の黒字企業割合は56.2%に低下~東商

 東京商工会議所が発表した「中小企業の経営課題に関するアンケート調査」結果(有効回答数1507社)によると、経営状況について、黒字企業の割合は56.2%と昨年(62.3%)を下回り、過去5年間で最も低くなり、上昇傾向が止まった。業種別では、「製造業」(黒字が前年比12.6ポイント減の52.1%)、「小売業」(赤字が同6.0ポイント増の21.5%)の低下が目立つ。業界の展望は、小売業において拡大・縮小が増加し、二極化の傾向がみられる。

 売上と事業コストについて、売上高が増加した割合は40.6%と、昨年を2.8ポイント下回った。販売・受注量の増加割合は36.5%と同4.5ポイント減少と3年前調査の水準(36.5%)まで減少した一方で、販売・受注単価は増加が26.2%で同0.9ポイント上昇し、4年前から「上昇」傾向が続く。事業コストは、人件費、仕入・原材料費、物流コストが1年前と比べて増加した企業は約6割となった。

 経営資源(金融)について、「経営者保証に関するガイドライン」の認知度は、「名称・内容ともに知っている」(21.7%)、「名称のみ知っている」(36.5%)が、約6割に増加。また、民間金融機関から 「説明がなかった」は 44.3%と、昨年に比べ約5%改善した。担保等設定状況においては、「不動産担保」は全体の約4割(38.0%)が設定されている一方、「動産担保」の利用者は6.3%と1割に満たない。

 融資における代表者保証を取らない割合は増加傾向にあり、特に「プロパー融資」において増加割合が顕著。一方、「保証協会付融資」では、代表者保証を不要とする制度が昨年創設されたものの、依然として83.9%に代表者保証がついており、代表者保証契約の割合は高い状況にある。働き方改革への対応では、「年次有給休暇の取得義務化」、「時間外労働の上限規制」に「対応済・対応の目途が付いている」企業はいずれも7割未満だった。

 抜本拡充された事業承継税制について、「改正・内容ともに知っている」は24.0%にとどまった。利用する際に3年以内に提出が必要な特例承継計画の申請は、「未定」が37.5%と最多。M&A(第三者承継)へのイメージは、約5割が「良い手段だと思う」と回答。自社株式評価では、約4割が「評価したことがない」と回答。小規模ほど少ない結果となった一方、従業員100人超の企業でも10 社に1社が「評価したことがない」と回答した。

 同調査結果は↓

https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1020898