2019年は10月に消費税率10%への引上げと軽減税率制度が導入されたほか、天候不順や台風などの自然災害が多く発生し、スーパーマーケット経営業者にとっても対応を迫られる年となった。帝国データバンクが発表した「スーパーマーケット経営業者の倒産動向(負債1000万以上、法的整理のみ)調査」結果によると、2019年のスーパーマーケット経営業者の倒産件数は2018年の21件を上回り、30件(前年比42.9%増)となった。
2013年以降減少傾向で推移していたが、7年ぶりに前年比増加に転じた。多くが地域密着型の独立系スーパーマーケット経営業者で、競合他社との競争激化が倒産の背景にある。一方、負債総額は188億3000万円(前年比125.4%増)となり2018年の83億5500万円を大きく上回った。2019年1月に特別清算開始命令を受け、2007年以降2番目の大型倒産となった(株)広電ストア(広島県、負債約70億円)が全体を押し上げた。
態様別にみると、「破産」が25 件で最多、次いで、「特別清算」が4件、「民事再生」が1件となった。全業種全地域の倒産を態様別にみると「破産」は約90%以上、「特別清算」は約3%で推移しており、スーパーマーケット経営業者の倒産では2015年以降、特別清算の構成比が10%前後と比較的割合が高い特徴がある。別企業や新会社に事業譲渡を行うことでスーパーマーケットの運営を維持し、その後特別清算を行うケースが多い。
地域別にみると、「関東」が7件(構成比23.3%、内訳=栃木県2件、茨城県2件、群馬県1件、埼玉県1件、東京都1件)で最多となり、そのうち栃木県、茨城県で2件ずつ発生した。次いで、「北陸」の6件(同20.0%、内訳=富山県3件、新潟県2件、福井県1件)、「東北」の4件(同13.3%、内訳=宮城県2件、青森県1件、福島県1件)と続いた。都道府県別では富山県と愛知県の3件がトップ。9地域中6地域で前年比増加となった。
業歴別にみると、「30年以上」が22 社(構成比73.3%)で最多となった。次いで、「10~20年未満」5件(同16.6%)が続き、業歴10年以上の企業が9割超を占めた。最も業歴が長かったのは1805年(文化2年)創業で業歴200年を超えるイタコ大黒天の遠峰酒造(株)(茨城県、負債約6億5000万円、特別清算)となった。
同調査結果は↓