政府が閣議決定した2020年度税制改正大綱には、大企業に対して積極的な投資や賃上げを促すため、租税特別措置である研究開発税制や所得拡大促進税制、接待飲食費の特例の適用要件を厳格化する改正が盛り込まれている。収益が拡大しているにもかかわらず賃上げも投資にも消極的なことから、内部留保、特に現預金が増加してきている現状を踏まえ、企業内部にたまった資金を成長投資に振り向けてもらう狙いがある。
試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)では、制度の適用要件を強化し、その大企業の国内設備投資額が当期償却費総額の10%を超えることとの現行の要件を、当期償却費総額の30%超にする。国内設備投資額とは、法人が当期に取得等した国内事業の用に供する資産(棚卸資産、有価証券、繰延資産を除く)のうち、建物や機械装置などの資産で当期末に有するものの取得価額の合計額をいう。
給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除制度(所得拡大促進税制)では、国内設備投資額が当期償却費総額の90%以上であることとの要件を、当期償却費総額の95%以上にする。賃上げ及び投資促進税制は、青色申告法人が、2021年3月31日までの各事業年度において、十分な賃上げや国内設備投資を行うなどの要件を満たす場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除が認められる特例措置だ。
また、接待飲食費に係る損金算入の特例では、資本金の額等が100億円を超える法人を特例対象から除外する。現行の接待飲食費の特例は、交際費等の額のうち飲食のために支出する費用の額の50%を損金算入できる措置で全法人が対象となっている。大企業の交際費は全額損金不算入だったが、経済活性化を図るため、飲食費に限る措置として2014年度税制改正で創設された。