政府は20日、2020年度の税制改正大綱を閣議決定したが、法人に関する見直しでは、既存の租税特別措置に関して、交際費等の損金不算入制度の見直しなど、大企業の適用を厳格化したものが多く、中小企業者関係の見直しは少ない。それでも、中小企業におけるオープンイノベーションを促進するための税制措置の創設や、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の見直しなどが盛り込まれている。
オープンイノベーションとは、社外から新たな技術やアイデアを募集・集約し、革新的な新製品(商品)・サービス、またはビジネスモデルを開発するイノベーションのこと。2020年度税制改正では、中小企業者で対象法人に該当するものが、2020年4月1日から2022年3月31日までの間に特定株式を取得した場合には、その取得価額の25%の所得控除ができるとされる。
対象法人とは、青色申告書の提出法人で、自らの経営資源以外の経営資源を活用し、高い生産性が見込まれる事業や新たな事業の開拓を行うことを目指す株式会社等をいう。また、特定株式とは、産業競争力強化法の新事業開拓事業者のうち同法の特定事業活動に資する事業を行う内国法人(設立後10年未満のものに限る)等の株式のうち、その払込金額が1000万円以上など一定要件を満たすことについて経済産業大臣の証明があるものをいう。
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、(1)対象法人から連結法人を除外する、(2)対象法人の要件のうち常時使用する従業員の数の要件を500人以下(現行:1000人以下)に引き下げた上で、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする)。同特例は、取得価額が30万円未満の減価償却資産を取得などして事業の用に供した場合に、その取得価額に相当する金額を損金算入できるというもの。
そのほか、交際費等の損金不算入制度については、接待飲食費に係る50%損金算入の特例の対象法人から資本金の額等が100億円を超える法人を除外した上で、その適用期限を2年延長するとともに、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長する。なお、大企業に対しては、賃上げ税制の適用要件と研究開発税制等の適用制限要件における、設備投資の基準のハードルを上げて、適用を厳格化している。
閣議決定された2020年度税制改正大綱は↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2020/20191220taikou.pdf