相続税調査、約1万件から3538億円の申告漏れ把握

 国税庁が、今年6月までの1年間(2018事務年度)において、2016年中に発生した相続を中心に、申告額が過少、申告義務がありながら無申告と思われるものなど1万2463件(前事務年度比▲0.9%)を実地調査した結果、うち85.7%に当たる1万684件(同1.5%増)から3538億円(同0.4%増)の申告漏れ課税価格を把握したことが明らかになった。加算税98億円を含む708億円(同▲9.6%)を追徴課税した。

 実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格2838万円(前事務年度比1.3%増)、追徴税額568万円(同▲8.8%)となる。また、申告漏れ額が多額だったことや、故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1762件(同17.2%増)で、その重加算税賦課対象額は589億円(同2.4%増)。重加算税賦課割合(重加算税賦課件数1762件/申告漏れ等の非違件数1万684件)は16.5%(同2.2ポイント増)だった。

 申告漏れ相続財産の内訳をみると、「現金・預貯金等」が1268億円(前事務年度1183億円)で全体の36.5%を占めて最も多く、続いて「土地」が422億円(同410億円、構成比12.2%)、「有価証券」が388億円(同527億円、同11.2%)、「家屋」が69億円(同62億円、同2.0%)のほか、「その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)」が1327億円(同1289億円、同38.1%)となっている。

 一方、申告・納税義務があるのに申告しない者も後を絶たないが、無申告事案については、前事務年度より13.5%多い1380件の実地調査を行い、うち89.3%に当たる1232件(前事務年度比20.2%増)から1148億円(同16.3%増)の申告漏れ課税価格を把握し、101億円(同15.0%増)を追徴課税した。1件当たりの申告漏れ課税価格は8320万円と、相続税調査全体の1件当たり申告漏れ2838万円の約2.9倍にのぼる。

 また、海外資産関連事案についても、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案などを積極的に調査している。2018事務年度は、1202件(前事務年度比6.5%増)の実地調査を行い、うち144件(同7.5%増)から海外資産に係る申告漏れ課税価格59億円(同▲15.8%)を把握し、うち1億円が重加算税賦課対象となっている。非違1件当たりの申告漏れ課税価格は4064万円と高額だ。

 2018事務年度の相続税の調査状況は↓

http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf