今年10月の消費税率の引上げと軽減税率導入に伴い、飲食店が厳しい状況に置かれている。帝国データバンクがこのほど発表した「飲食店の倒産動向調査」結果によると、2019年の飲食店事業者の倒産は11月までに668件発生し、既に前年(653件)を上回った。過去最多となっているのは2017年の707件だが、2019年はこのままのペースで推移すると通年の倒産件数は728件前後となり、過去最多を更新する可能性が高い。
業態別(11業態)にみると、居酒屋やビヤホールのほか、焼き鳥店、おでん店、もつ焼き店などをメインとする「酒場・ビヤホール」(143件、構成比 21.4%)、レストラン、フランス・イタリア料理店などの「西洋料理店」(110件、同16.5%)が11月時点で過去最多を更新し、業界全体の倒産件数を底上げしている。「中華・東洋料理店」(96件、同14.4%)や「喫茶店」(60件、同9.0%)は過去最多に迫る勢いとなっている。
11月までの件数でみると、「酒場・ビヤホール」、「西洋料理店」、ラーメン店、カレー店、焼肉店などを含む「中華・東洋料理店」の3業態で全体(668件)の52.2%を占めている。「酒場・ビヤホール」は2009年以降、11年連続で最も倒産件数の多い業態となっているほか、「西洋料理店」は2017年が前年比41.0%増 、2018年同7.0%増、2019年同19.6%増と3年連続増加し、ここ数年で件数が2倍近くに急増している。
一方で、てんぷら店、うなぎ店、とんかつ店、沖縄料理店などの「日本料理店」(46件、構成比6.9%)は、他業態に比べ件数は少なく、「すし店」(18件、同2.7 %)や「そば・うどん店」15件、同 2.2 %)、「料亭」(7件、同1.0%)も同様の結果となった。和食はその他の業態に比べ新規参入が少なく、消費者の嗜好やトレンドに左右されにくいことなどが要因とみられている。
負債額別にみると、2019年(1月~11月)は「5000万円未満」の小規模倒産が構成比84.4%(564件)、5000万円を超える倒産は同15.6%(104件)となった。「5000万円未満」の倒産は2015年から5年連続で8割超の構成比となっている。飲食業界はブームやトレンドの移り変わりが激しく、成長半ばにして事業継続が困難となる事業者が多いことが要因とみられている。
同調査結果は↓