経営者の廃業時の年齢は平均58.5歳~日本公庫調査

 経営者の廃業時の年齢は、「60~69歳」が38.8%と最多、「50~59歳」が34.4%、「45~49歳」が17.2%、「70歳以上」が9.6%で、平均は58.5歳だったことが、日本政策金融公庫が引退廃業者を対象に10月に実施した「経営者の引退と廃業に関する調査」結果(詳細調査対象500件)で分かった。創業者との関係は「創業者本人」が79.0%を占め、引退時までの経営年数は、「10~19年」が36.0%で最多だった。

 後継者の検討状況をみると、「後継者を探すことなく事業をやめた」が93.4%を占めている。後継者を探すことなく廃業した理由は、「そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていなかった」が57.2%と最多、次いで「事業に将来性がなかった」が23.1%。誰かに継いでもらいたいと思っていなかった理由(複数回答)は、「高度な技術・技能が求められる事業だから」や「経営者個人の感性・個性が欠かせない事業だから」が多い。

 廃業を決めた時と廃業直前の年商は、ともに「500万円未満」が5割を占めている。廃業を決めた時と廃業時の資産・負債の状況は、ともに「資産負債より多かった」が5割近くを占めている。廃業を決めた時の事業の将来性は、「事業を継続することはできるが縮小が予想された」(35.6%)と「事業をやめざるを得なかった」(35.2%)が同程度の割合で、合わせて7割が事業の将来性は乏しいと感じていた。

 廃業のために相談した外部機関や専門家(複数回答)は、「相談していない」が71.0%だが、相談した外部機関や専門家は、「公認会計士・税理士」が13.6%と最も多く、次いで「取引先」が5.6%、「同業者・同業者団体」が5.0%と続いている。また、廃業時の借入金残高は、「借入金は残っていない」が78.8%を占め、調査時点における借入金の完済までの期間は、「返済済み」が66.1%、「5年未満」が20.5%だった。

 廃業時に問題になったこと(複数回答)は、「特に問題はなかった」が61.4%であり、約4割は廃業時に問題になったことがある。その内容(同)は、「生活するための収入がなくなった」(18.8%)や「販売先や受注先の企業に不便をかけてしまった」(8.8%)などが多い。廃業の円滑度は、「円滑にできた」が53.6%、「どちらかといえば円滑にできた」が50.6%であり、9割超が円滑に廃業できたと回答している。

 「経営者の引退と廃業に関する調査」結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings191212_1.pdf