東京商工リサーチがこのほど発表した「リーマン・ショック後の企業業績調査」結果によると、2008年9月の“リーマン・ショック”から11年が経過したが、この11年間に企業業績の推移を検証したところ、リーマン・ショック直前の2007年度を100.0とすると、全企業の売上高合計は2017年度まで100.0を下回り、2018年度にようやく101.1と初めてリーマン・ショック前の水準に回復したことが分かった。
一方、全企業の利益合計は大きく落ち込んだ後、急回復を果たし、2018年度は164.7だった。利益の急回復は人員削減、合理化が大きく貢献した。ただし、震災復興や東京オリンピック・パラリンピックに向けた投資が活発な建設業、都市部の再開発が活発な不動産業、運輸業がけん引した一方、非上場の小売業は売上高合計・利益とも100.0に戻らず、規模や産業により明暗を分けている。
全企業の売上高合計は2009年度に84.4まで下落し、その後ずっと100.0を下回る水準だったが、ようやく2018年度に101.1へ回復し、初めてリーマン・ショック前の水準に戻した。利益合計は2008年度17.1と極度に落ち込んだが、2013年度に100.0を回復、2018年度は164.7まで伸ばした。ただ、上場企業の利益合計が171.1に対し、非上場は157.6にとどまり、円安を背景にした上場企業の回復と中小企業のもたつきが鮮明に出た。
上場企業の産業別の売上高は、2018年度は10産業中、製造業、卸売業、運輸業を除く7産業で100.0以上となった。製造業、卸売業、運輸業は2008年度以降、一度もリーマン・ショック前の水準を回復していない。産業別の利益合計(上場)は、2018年度は全業種で100.0を回復した。全業種合計では171.1まで増加し、2007年度以降では最高となった。2018年度で最も高かったのは、建設業の577.8で、他産業を大きく上回った。
非上場企業の産業別の売上高は、2018年度は10産業のうち、農・林・漁・鉱業、小売業を除く8産業で100.0を回復。なかでも製造業は2017年度まで100.0を下回っていたが、2018年度は102.1を確保した。ネット通販の拡大に加え、大手を中心に人手不足で請負単価の引き上げに動いた運輸業は117.7で、全産業中トップとなった。産業別の利益合計(非上場)は、2018年度は10産業中、小売業を除く9産業で100.0を回復している。
同調査結果は↓