2020年の景気を「悪化」と見込む企業は37.2%

 帝国データバンクが発表した「2020年の景気見通しに対する企業の意識調査」結果(有効回答数約1万社)によると、2019年の景気動向は、「回復」局面だったと考える企業は3.7%となり、2年連続で一ケタ台となった。他方、「踊り場」局面とした企業は47.1%と半数近くにのぼった。また、「悪化」局面とした企業は31.2%と2018年の景気動向(前回2018年11月調査)から14.0ポイント増加し、2012年以来7年ぶりの3割超えとなった。

 2020年の景気については、「回復」局面になると見込む企業(6.8%)は、2019年の見通しを聞いた前回調査(9.1%)から2.3ポイントの減少となり、2年連続で一ケタ台となった。「踊り場」局面は32.8%と前回調査(38.2%)より減少。一方で、「悪化」局面を見込む企業は37.2%で、2年連続で増加しており、調査開始以来3番目に高い水準となった。景気の先行きについて、1年前より厳しい見方を強めている様子がうかがえる。

 2020年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料(3つまで回答)については、「人手不足」が46.2%で最多となり、3年連続して5割近くの企業で悪材料と捉えている。次いで、「中国経済」(34.8%)が3割超で続き、「原油・素材価格(上昇)」(24.9%)、「米国経済」(22.8%)、「消費税制」(22.1%)、米中貿易摩擦などの「貿易摩擦の激化」(21.8%)が2割台で続いた。とりわけ、米国や中国に関連した項目で前回調査から増加がみられた。

 今後、景気が回復するために必要な政策(複数回答)では、「人手不足の解消」が39.6%と4割近くにのぼり、トップとなった。前回調査に引き続き2年連続で最多となっており、企業は人手不足の解消を、今後の景気回復に向けた喫緊の課題として捉えている様子がうかがえた。次いで、「個人消費の拡大策」(33.8%)、「所得の増加」(31.3%)、「公共事業費の増額」(26.7%)、「個人向け減税」(26.5%)が続いた。

 他方で、「貿易摩擦の緩和」(22.6%)や「災害対策」(21.4%)を必要な政策とみている企業が増加した。特に、災害に関しては、「災害対策」以外にも、水害、土砂災害、噴火などの「災害復興(地震は除く)」(20.0%)や「震災復興」(11.7%)といった災害が起きた後の政策を挙げる企業も多く、近年多発する自然災害への強い危機感がうかがえる結果となっている。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p191203.pdf