7割弱の企業が「必要資金は十分借りられている」

 大阪商工会議所が、会員中小企業を対象に11月に実施した「資金調達及び最低賃金引上げの影響に関する調査」結果(有効回答数220社)によると、金融機関からの借入れ状況は、「現時点で借入れが必要な資金は、十分借り入れられている」と回答した企業が7割弱(68.2%%)だった。資金調達環境は昨年度に比べ改善(昨年度調査:61.9%)。資金需要があるにもかかわらず借入れ不足の企業は、1割超(10.9%)だった。

 借り入れている(借り入れの必要がある)資金の使途(複数回答)は、「運転資金」が8割台半ば(84.9%)で最多。以下、「設備資金(生産力・販売力拡大投資)」(27.0%)、「賞与資金(従業員へのボーナス)」(17.3%)が続く。資金需要の背景にある経営環境の変化(複数回答)については、「コストアップ(人件費、物流費、仕入価格、原材料費などの上昇)」が半数強(53.0%)で最も多かった。

 現時点での金融機関の貸出態度については、昨年度末(2019年3月末)と比べ「ほぼ変化なし」が6割強(62.1%)と、昨年度調査とほぼ同様(昨年度:62.4%)の結果となった。他方、「厳しくなった」が1割台半ば(14.4%:「大幅に厳しくなった」(3.4%)と「少し厳しくなった」(10.9%)の合計)。とりわけ資本金1千万円以下の企業では、「厳しくなった」が3割弱(28.8%)を占めている。

 一方、ここ数年の最低賃金の大幅な引上げに伴う、経営への影響については、「悪影響がある」が半数超(50.9%)を占めた。他方、「ほとんど影響はない」が4割台半ば(44.1%)。悪影響があると回答した企業が取った(取る予定の)対策(複数回答)は、「人件費以外の管理コスト等の削減」が5割台半ば(56.3%)で最多。以下、「売上拡大による利益の確保」(35.7%)、「正社員の人件費の抑制(新規採用や給与の抑制)」(26.8%)が続いた。

 なお、最低賃金引上げの悪影響緩和のため、政府に望む政策(複数回答)については、半数以上の企業が、「社会保険料(年金、医療、介護、雇用保険など)の使用者負担分の軽減」(54.1%)、「企業の税負担の軽減(法人実効税率の引下げ)」(50.9%)を挙げている。以下、「経済成長による需要喚起策」(35.9%)、「賃上げ支援策(助成金の拡充・税制優遇など)」(26.4%)が続いた。

 同調査結果は↓

http://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/Iken_Youbou/k20191206skn.pdf