日本銀行によるマイナス金利政策の継続により、企業を取り巻く金融環境はこれまでにない低金利の時代に突入している。帝国データバンクがこのほど発表した「全国平均借入金利動向調査」結果によると、2018年度の企業の平均借入金利は1.37%となり、前年度比0.08ポイント低下したことが分かった。企業の借入金利は、2007年度(2.33%)をピークに11年連続で低下している。
また、2007年度と比べて0.96ポイント低下とその下げ幅も大きい。リーマン・ショックと、その後の日本銀行の金利政策もあり、平均借入金利は年々低下。近年、国内の長期金利(新発10年国債)は0%前後で推移しており、企業の借入金利についても、低水準で推移している。調査は、同社保有の企業財務データベース「COSMOS1」を用いて、国内企業の平均借入金利を算出し、集計・分析したもの。
都道府県別にみると、最も平均借入金利が低かったのは「香川県」の1.13%(前年度比▲0.09ポイント)。以下、「愛知県」の1.14%(同▲0.11ポイント)、「大阪府」の1.23%(同▲0.10ポイント)、「岐阜県」の1.23%(同▲0.10ポイント)と続く。メガバンクのほか中国地方など県外金融機関の進出で競争が激しい「香川県」や、「名古屋金利」で知られ、第二地銀及び多数の信用金庫が集まる「愛知県」で低金利が顕著であることが分かった。
一方で金利が高かったのは「沖縄県」の1.84%(前年度比▲0.08ポイント)。次いで「秋田県」1.75%(同▲0.07ポイント)、「山梨県」1.73%(同0.01ポイント)、「鹿児島県」1.73%(同▲0.10ポイント)と地域のばらつきが見られた。最も金利が高い「沖縄県」と最も低い「香川県」では0.70ポイントの開きがあり、人口動態や地域金融機関の数等を背景に都道府県ごとの金利に大きな乖離がみられた。
業種別では、最も平均借入金利が低いのは「小売業」(1.19%、前年度比▲0.07ポイント)で、「製造業」(1.20%、同▲0.09ポイント)が続いた。 逆に最も高いのは「建設業」(1.55%、同▲0.05ポイント)、次いで 「不動産業」1.46%、同▲0.04ポイント )。全ての業種で金利低下がみられるなか、下げ幅が最も大きかったのが「運輸・通信業」(1.21%、同▲0.12ポイント)で、 10年前の2008年度と比較しても最も金利低下の大きい業種となった。
今年は 低金利の環境下、金融機関の間で貸し出し競争が激化するなかで、その間隙を縫って粉飾によって好決算に見せかけ、融資を引き出して延命を図る企業が目立った。帝国データバンクは、「今後も借入金利は低水準で推移するとみられるが、政策金利の動向次第では大きく変動する可能性もあり、企業と金融機関の関係性 や企業経営そのものを左右する金利の動向が注目される」とコメントしている。
同調査結果は↓