2019年中に過去最高の90.2%の企業が賃金を引上げ

 厚生労働省がこのほど公表した「2019年賃金引上げ等の実態に関する調査」結果によると、2019年中に1人平均賃金を「引き上げた(予定含む)」企業は前年比0.5ポイント増の90.2%と、過去最高となった。1人平均賃金とは、常用労働者の所定内賃金(基本給)の1人当たり平均額で、残業代やボーナスは含まれない。同調査は、常用労働者が100人以上いる企業を対象に今年8月時点で実施し、1647社から有効回答を得た。

 1人平均賃金を「引き下げた(予定含む)」企業は前年比0.4ポイント減の0.0%とゼロ社で、賃金の改定を「実施しない」は同0.5ポイント減の5.4%となっている。2019年中の1人平均賃金の改定額は前年を83円下回る5592円、1人平均賃金の改定率は同横ばいの2.0%。改定額を企業規模別にみると、「5000人以上」は6790円、「1000~4999人」5722円、「300~999人」5204円、「100~299人」4997円だった。

 管理職の定期昇給制度の有無をみると、「制度あり」の企業が77.5%、「制度なし」が21.8%。制度ありの企業で2019年中に「定昇を行った・行う」企業は71.2%、「定昇を行わなかった・行わない」企業が6.2%。一方、一般職では、「定昇制度あり」の企業が83.5%、「定昇制度なし」の企業が15.8%。制度ありの企業で2019年中に「定昇を行った・行う」企業は80.4%、「定昇を行わなかった・行わない」企業が3.0%だった。

 定昇制度がある企業のうち、「定昇とベア等の区別のある」企業で、2019年中に「ベアを実施した」企業は、管理職で24.8%、一般職で31.7%。また、2019年中に賃金の改定を実施・予定していて額も決定している企業における「賃金カットを実施・予定している」企業は6.0%で、対象者別にみると、「管理職のみ」の企業が18.7%、「一般職のみ」が36.9%、「管理職一部と一般職一部」が37.3%となっており、「一般職全員」は1.2%だった。

 2019年中に賃金の改定を実施・予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」とした企業が50.0%(前年50.4%)と最も多く、「重視した要素はない」(13.8%)を除くと、次いで「労働力の確保・定着」が9.9%(同9.0%)、「雇用の維持」が6.5%(同7.0%)、「世間相場」が6.2%(同4.5%)、「前年度の改定実績」が4.8%(同2.5%)などとなっている。

 同調査結果の概況は↓

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/19/dl/10.pdf