帝国データバンクがこのほど発表した「駆込み需要と反動減に関する企業の意識調査」結果(有効回答数:約1万社)によると、自社における消費税率引上げ前の駆込み需要の有無は、「駆込み需要があった」とする企業は、26.5%にとどまった。また、駆込み需要が生じた時期をみると、「2019年9月頃から駆込み需要があった」企業が12.3%で最も多かった。他方、「駆込み需要はなかった」とする企業は66.7%となった。
駆込み需要があった企業を業界別にみると、家具類小売や家電・情報機器小売などの「小売」が58.7%で最多、次いで、「卸売」(34.9%)、「運輸・倉庫」(27.8%)、「建設」(27.1%)が続いた。特に、「小売」においては、「2019年9月頃から駆込み需要があった」(28.3%)と「税率引き上げ直前(1週間前程度)に駆込み需要があった」(22.7%)の合計が半数を超えており、消費税率引上げの1ヵ月前から顕著に駆込み需要が発生していた。
また、「建設」においては、「建築前倒しで実施する顧客があったため、当社の受注も増加。前期(2019年7月期)の増収に貢献」(信号装置工事、東京都)という声もあるように、2018年10月頃から2019年7月頃にかけて、断続的に駆込み需要が生じていた様子が浮き彫りとなった。一方、「農・林・水産」(13.5%)など10 業界中5業界が1割台となっており、消費税率の引上げに際して、恩恵を受けた業界とそうでない業界との差が表れた。
消費税率引上げ後における需要の反動減については、10月時点で「ある」とする企業は19.4%。一方で、「ない」とする企業は、半数超の55.3%だった。「反動減はある」とする企業を業界別にみると、「小売」が53.9%で突出して多く、次いで、「卸売」(26.8%)、「運輸・倉庫」(20.2%)が2割台で続いた。上位3業界以外は1割台となっており、多くの業界で反動減はないと認識している様子がうかがえた。
他方、26.5%の駆込み需要があった企業でみると、「反動減はある」は49.4%。一方で、「ない」とする企業は31.9%となり、駆込み需要があった企業においても約3社に1社は、現時点では駆込み需要による反動は生じていない様子がみられた。また、駆込み需要と反動減の両方に直面した企業を業界別にみると、「小売」(72.0%)が最も多く、次いで、「金融」(60.7%)が6割台、「卸売」(56.2%)などが5割台で続いた。
同調査結果は↓