国税庁はこのほど、「2020年版 源泉徴収のあらまし」を公表した。この「源泉徴収のあらまし」は、2019年8月1日現在の所得税法等関係法令(租税条約については発効予定条約を含む)の規定に基づいて、源泉徴収の事務に携わる人に向けて、2020年における源泉徴収の仕組みやその内容を十分理解してもらうために作成しているもの。冒頭で「税制改正等の内容」が説明されている。
例えば、個人が消費税率10%の住宅取得等をした場合に、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例が創設された。この改正に伴い、二つ以上の住宅の取得等をした場合の控除額の計算の調整措置、年末調整に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等について所要の措置が講じられた。この改正は、住宅の取得等をして2019年10月1日から2020年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合に適用される。
具体的には、適用年の11年目から13年目までの各年の住宅借入金等特別税額控除額について、(1)一般住宅、(2) 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅、(3) 東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の対象となる再建住宅の場合の区分に応じ、それぞれに定める金額のいずれか少ない金額として、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除が適用できることとされた。
例えば、(1)の場合は、「住宅借入金等の年末残高(4000万円を限度)×1%」か「〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-その住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等〕(4000万円を限度)×2%÷3」。(2)の場合は、「住宅借入金等の年末残高(5000万円を限度)×1%」か「〔住宅の取得等の対価の額-その住宅の取得等の対価の額に含まれる消費税額等〕(5000万円を限度)×2%÷3」のいずれか少ない金額となる。
また、少額投資非課税制度(NISA)では、非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しないこととなる場合の特例措置や、さらに、上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例の見直し、公的年金等の源泉徴収の見直し、源泉徴収及び確定申告における配偶者に係る控除の適用の見直しや、ストックオプション税制について適用対象者の範囲に特定従事者が加えられるなどしている。
そのほか、2018年度税制改正により2020年1月1日以後適用とされている主な改正項目には、給与所得控除の見直し(一律10万円引下げ等)、基礎控除の見直し(10万円引上げ等)、所得金額調整控除の創設などがある。これらの改正に伴い、各種所得控除を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等も見直される。同「源泉徴収のあらまし」は、源泉徴収事務従事者等が同年の源泉徴収の仕組みや内容をまとめて理解できる内容となっている。
「2020年版 源泉徴収のあらまし」は↓
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2019/index.htm