第一生命経済研究所は、民間企業の2019年冬のボーナス支給額を前年比▲1.5%と予想している。2019年夏に続いて、2季連続の減少となり、冬のボーナスとしては4年ぶりの減少となる。この背景にあるのは企業業績の低迷だ。特に製造業においては、経常利益が2018年度下期▲5.9%、2019年度上期▲15.6%(計画)と業績悪化度合いが大きく、製造業を中心として冬のボーナスは悪化が見込まれる。
海外景気の減速に伴って輸出に頭打ち感が生じたことや原材料価格の上昇等を背景として、2018年度下期の経常利益は前年比▲2.3%と減益に転じたことに加え、2019年度上期についても輸出の悪化を主因として前年比▲9.2%と減益幅が拡大する計画となっている(日銀短観ベース)。ボーナスは業績に連動する傾向が強いことから、こうした業績悪化がボーナス抑制に直結するとみている。
冬のボーナスの悪化が見込まれることは、今後の個人消費にとって痛手となる。10月から始まった消費増税による負担増にボーナス減少という重荷が加わることで、消費への逆風はさらに強まる。消費増税に備えて様々な対策が実行に移されていることから、家計の実質的な増税負担額は前回増税時の2014年と比較してかなり小さく、消費増税発の景気失速は避けられるとみられるが、リスクは明らかに下振れとなる。
また、日本総研によると、今冬の賞与の展望は、民間企業の一人当たり支給額は前年比▲0.8%と、年末賞与としては4年ぶりのマイナスとなると見込む。この背景には、2019年度上期の企業収益の伸び悩みがある。外需の下振れを受けて減収となるなか、経常利益は、2019年4~6月期に前期比▲5.0%と2四半期ぶりの減益となる。さらに、先行き不透明感の高まりも賞与を下押しする。
中国経済の失速懸念、米中貿易摩擦への不安などを背景に、賃金引上げに慎重な姿勢が年初から強まる動きがある。外需減速の影響を受けやすい大企業では、年間の賞与支給ファンドを夏前までに決定する「夏冬方式」が全体の8割にのぼるため、夏季賞与に続きマイナス支給が相次ぐ公算が強い。加えて、人手不足の深刻化を背景に、所定内給与(基本給)が高まる傾向にあることも、賞与を下押しするとみている。
第一生命経済研究所の予測は↓
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2019/shin1911082.pdf
日本総研の予測は↓
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/11405.pdf