海外進出への課題、1位「社内人材(邦人)の確保」

 帝国データバンクがこのほど発表した「海外進出に関する企業の意識調査」結果(有効回答数9901社)によると、現在、自社の海外進出の状況は(複数回答)、生産拠点や販売拠点など「直接的な進出」を行っている企業は13.7%、業務提携や輸出など「間接的な海外進出」は18.1%となった。直接・間接のいずれかの形で海外進出をしている企業は24.7%となる一方で、「進出していない」は72.6%だった。

 海外進出がある企業を業界別にみると、「製造」が39.8%で最も多く、次いで「卸売」(29.5%)、「金融」(27.6%)が続いた。特に、「製造」を細かくみると、金属工作機械製造や半導体製造向けの器具・装置などの「機械製造」(51.6%)が5割以上となったほか、「化学品製造」(49.8%)や「輸送用機械・器具製造」(49.0%)、「精密機械、医療機械・器具製造」(48.1%)などが4割台後半で続いた。

 海外進出を進める上での相談相手(複数回答)は、「取引先企業」が38.0%で最多、次いで、日本貿易振興機構(ジェトロ)や中小企業基盤整備機構(中小機構)など「公的な支援機関」(29.0%)、「メインバンク」(26.0%)が2割超で続き、「現地企業」(16.6%)、「現地日系企業」(15.5%)が上位に並んだ。経済産業省や外務省、中小企業庁などの「中央省庁」(4.2%)や「地方自治体」(2.7%)など行政機関への相談は低水準にとどまった。

 生産拠点として最も重視する国・地域は、「中国」が23.8%で最多、以下、「ベトナム」(11.5%)、「タイ」(7.1%)、「台湾」(3.2%)などアジア諸国・地域が上位となった。販売先においては、「中国」が25.9%でトップ、次いで、「アメリカ」(8.9%)、「ベトナム」(7.8%)、「タイ」(7.3%)、「台湾」(4.2%)が続いた。上位10ヵ国・地域では、「アメリカ」以外はすべてアジア諸国・地域が占めた。

 今後、海外進出を検討又は進める場合の障害や課題(複数回答)については、「社内人材(邦人)の確保」が45.2%で最多、次いで、「言語の違い」(37.9%)や「文化・商習慣の違い」(37.3%)、「海外進出に向けた社内体制の整備」(36.6%)、「進出先の経済情勢に関する情報収集」(33.9%)が上位となった。規模別にみると、「大企業」では「中小企業」より多くの項目で深刻に捉えている傾向がみられた。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p191005.pdf