大阪シティ信用金庫が府内取引先企業を対象に9月上旬に実施した「中小企業における人手不足の実態と対応策等についての調査」結果(有効回答数1332社)によると、人手の現状は、「足りている」とする「充足企業」が67.0%だったのに対し、「不足している」とする「不足企業」は33.0%と、およそ3社に1社が人手不足の状況にあることが分かった。ただし、前年調査と比べると、不足企業割合は▲2.3 ポイントわずかに減少している。
業種別でみると、大きな格差がみられ、「運輸業」(60.7%)や「建設業」(55.8%)で「不足企業」割合が特に高い一方、「卸売業」(▲9.7ポイントの16.1%)、「サービス業」(▲6.5 ポイントの21.0%)、「製造業」(▲4.1 ポイントの31.3%)では前年比マイナスとなり、不足感が後退した。さらに従業者規模別でみると、規模が大きくなるほど不足企業割合が高くなっており、「5人未満」の19.8%に対し、「50人以上」では51.9%にのぼる。
人手不足の深刻度合いは、「かなり深刻」と回答した企業は4.3%だが、「やや深刻」と回答した企業は47.1%あり、これらを合計した「深刻」とする企業は51.4%と5割を超えた。人手不足企業における深刻度は高く、経営に大きな影響を及ぼしていることがうかがえる。業種別でみると、「深刻」とする企業割合は「建設業」(60.0%)と「運輸業」(58.8%)で6割程度と、比較的高くなっている。
人手不足が自社の経営に及ぼす悪影響(複数回答)は、「受注機会の逸失」が79.9%で圧倒的に多く、受注増への対応が困難なため、せっかくのビジネスチャンスを生かしきれていないようだ。次いで、「人件費・外注費等の経費増加」が24.7%、「技術・ノウハウの継承が進まない」が23.3%、「商品・サービスの質の低下」が19.9%と続いている。前年調査と比べ、各項目に大きな変動はみられない。
人手不足への対応(複数回答)では、「従業員を募集している」と回答した企業は73.3%。求人以外の対応策としては、「残業や休日出勤、仕事の兼務など(現人員で対応)」が39.7%で最も多く、限られた人員で何とか対応せざるを得ない状況がうかがえる。さらに、「仕事を外注に回している(外注活用)」が27.2%、「省力化・効率化など業務の見直しを進めている」が19.4%、「受注を抑えている(受注制限)」が12.8%となっている。
同調査結果は↓
https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2019/2019-10-08.pdf