消費税率引上げ、販売価格へ反映できる企業が増加

 消費税率の10%への引上げに伴い、景気が悪化し、中小企業の経営に悪影響が及ぶのではないかと懸念される。また、軽減税率導入に伴い、事務負担が増加するのではという声も挙がる。そこで、信金中央金庫は、「全国中小企業景気動向調査」2019年9月調査において、「消費税率引上げの影響と対応について」をテーマとした、特別調査を実施し、消費税率引上げの影響に注目し、特徴点をまとめた。

 その調査結果(有効回答数1万4260社)によると、消費税引上げ分の販売価格への反映については、「すべて反映できる」が40.2%となり、前回(5%から8%に上昇した2014年3月時の調査)の33.5%から6.7ポイント上昇。対して、「一部の反映にとどまる」は27.9%と前回(35.1%)から7.2ポイント低下。また、「全く反映できない」は6.7%と前回(8.6%)から1.9ポイント低下した。

 全体的に販売価格に反映できない企業は一定数存在するものの、割合は減少している。ただし、従業員規模別にみると、規模が小さい程「わからない」の割合が増加するなど、不透明感が上昇する傾向もあった。小規模事業者を中心に不透明感が強い傾向が見て取れる。また、消費税率引上げに伴う売上げへの影響については、「減少する」が23.2%と、前回の39.5%から16.3ポイントも低下した。

 対して、「どちらともいえない」は35.8%と前回から4.5ポイント増加し、「影響はない・変わらない」も18.1%と前回から7.1ポイント増加しており、全体的に、売上げに悪影響を見込む企業の割合は低下した。従業員規模別にみると、販売価格と同様に、規模が小さいほど「わからない」の割合が前回の17.5%から22.2%へと増加しており、不透明感が上昇する傾向にあったといった声も挙がっている。

 信金中金では、「消費税率引上げの影響についてとりまとめた結果、販売価格への反映は前回引上げ時よりも進んでおり、また、売上への悪影響も前回よりは軽微であるとの回答が目立った。ただし、小規模事業者を中心に不透明感が目立っており、今後の動向が注目される」とコメントしている。

 同調査結果は↓https://www.scbri.jp/PDFnews&topics/20191011.pdf