退職金制度を「導入している」企業は82.9%だったことが、労働政策研究・研修機構が従業員数10人以上の企業を対象に実施した「企業における退職金制度の状況や財形貯蓄制度の活用状況に関する実態調査」結果(有効回答数1898社)で分かった。従業員規模別にみると、従業員規模が大きいほど導入し、また、正規雇用従業員の平均年齢が40代前半の企業、離職率の低い企業、創業年が古い企業において、より導入している傾向があった。
退職金制度を導入している企業の退職金の支払い準備形態をみると、「中小企業退職金共済制度」が最も多く46.5%、次いで「社内準備」が34.8%、「特定退職金共済制度」が14.4%だった。退職金制度を導入していると回答した企業のここ5年間の退職金支給額の変化については、「横ばい」が最も多く80.9%、次いで「増加」が13.7%。従業員300人以上の企業は、「横ばい」が85.5%と最多、「増加」が7.9%と最少だった。
定年制度については、「導入している」と回答した企業は86.8%。過去5年間において定年制度に関して「変更があった」企業は31.5%。定年制度の変更があった企業が行った変更(複数回答)は、「再雇用制度の導入」が最も多く55.2%、次いで「定年年齢の引上げ」が45.7%。旧定年年齢の前後での労働条件に変化があるもの(複数回答)は、「給与水準」が最も多く61.6%、次いで「役職」が13.1%だった。
従業員の資産形成を支援する各制度の導入状況は、「一般財形」、「年金財形」、「住宅財形」を導入している企業の割合はそれぞれ34.6%、15.5%、14.7%。その他の制度では、「企業型確定拠出年金(企業型DC)」が最も高く10.1%、次いで「従業員持株制度」が8.5%だった。また、財形貯蓄制度の導入状況をみると、一般財形、年金財形、住宅財形の各財形貯蓄制度のうち、いずれか一つでも導入している企業は全体の35.2%だった。
従業員規模別にみると、300人以上の企業では73.3%が導入している一方で、30人未満の企業では24.6%にとどまる。正規雇用従業員の平均年齢別にみると、40代前半の企業において導入が最も進んでいる状況だった。正規雇用従業員の離職率別にみると、離職率が20%を超える企業での導入は15.0%にとどまっているが、離職率が10%未満の企業では38.8%が導入しており、離職率が低い企業ほど導入が進んでいる状況にあった。
同調査結果は↓