ザイマックス不動産総合研究所が、東京23区のオフィスビルに入居する一般事務所用途テナント企業を対象に実施した「1人当たりオフィス面積調査」によると、2019年4月時点における各企業テナントの賃借面積と利用人数を集計し、1人当たりオフィス面積を計算した結果、中央値は3.71坪だった。調査は、一般的な事務所に入居している企業における利用者1人当たりの賃借面積についてみたもの。
1人当たりオフィス面積は2011年以降、減少を続けていたが、2016年から2018年にかけては増加した。今年は3.71坪と昨年度(3.85坪)から大きく減少し、これまでで最小となった。1人当たりオフィス面積について、新規に入居したテナントと、それ以前から継続して入居しているテナントに分けて集計したところ、「継続」の3.76坪に対し、「新規」は3.34坪と大きく減少している。
リーマンショック後の不況を背景としたオフィスの縮小移転の流れを受け、新規テナントの1人当たりオフィス面積が2009年に縮小して3.66坪になった一方で、継続テナントは人員削減の影響を受け2010年には4坪台となり、新規テナントとの差は大きく開いていた。2013年に入り、新規テナントの1人当たりオフィス面積は拡大に転じ、2014年には4.25坪/人と余裕を持った結果になった。
この背景としては、2012年のオフィス大量供給をうけ、企業が景気回復を背景に将来の事業拡大・人員増に向けてオフィスを広めに確保しようとした動きがあったことが考えられる。2015年からは、空室率・空室面積の減少や市場賃料上昇によるコスト意識の高まりなどから、新規が継続を下回っていた。2017年には新規が継続を上回ったものの、2018年は再び新規が下回り、さらに今年は新規が大きく下回った。
背景には、空室率が1%を切るなど需給がひっ迫しているなか、フリーアドレスやテレワークの導入など、働き方改革を推進するテナントの増加により、利用人数に対してこれまでより小さい面積のオフィスに入居するケースが多くなっていることがある。また、継続テナントに関しても、館内増床や増床移転が難しく、面積を維持したまま利用人数の増加に対応するケースが増加したため、1人当たりオフィス面積が縮小しているとみられている。
同調査結果は↓
https://soken.xymax.co.jp/wp-content/uploads/2019/09/1910-office_space_per_person_2019.pdf