出版不況に歯止めがかからない状況が続いている。全国出版協会の発表では、2018年の紙の出版物の推定販売金額は1兆2921億円で、前年比5.7%減と14年連続のマイナスとなっている。帝国データバンクがこのほど発表した「出版関連業者の経営実態調査」結果によると、2008年度及び2013年度から2018年度まで売上高が判明した出版関連業者3740社をみると、2018年度は全業種で前年度比減少となった。
このうち、出版社は1兆6036億4700万円(前年度比0.2%減)で2年連続の減少、出版取次は1兆5195億3200万円(同4.3%減)で、5年連続で減収となった。出版取次業者の特に厳しい業況がうかがえる。書店経営は1兆652億6000万円(同1.3%減)となり、3年連続で減収となった。業界全体として10年前の2008年度比でみると減少率は二ケタを超え、出版取次では20%以上となった。
出版関連業者4734社のうち2018年度の「売上規模」が判明した4724 社をみると、全体では「1億円未満」が2438社(構成比51.6%)で最も多く、次いで「1億~10億円未満」で1794社(同38.0%)、「50億~100億円未満」で66社(同1.4%)の順となった。全業種ともに小規模事業者が依然として多く、特に書店経営業者は「1億円未満」の構成比が最も高く全体の57.4%を占めている。
出版関連業者を都道府県別にみると、全業種で「東京都」がトップ、全体でみると2位の「大阪府」の8倍以上と一際目立つ。3業種それぞれにみても、「大阪府」や「北海道」、「愛知県」など主要都市を有する都道府県に多いという分布となった。また、日本出版取次協会は今年3月、人手不足などの物流面の影響により中国・九州地方での雑誌・書籍の販売が発売日より1日遅れると発表。消費者の購買意識にどれほど影響しているか注目される。
同調査結果は↓